空蝉=セミの抜け殻あるいはこの世の中そのもの。
どちらが良いのかは分からないが同じ言葉でも違う意味があるから日本語はややこしい。
あるいはバックミラー。
「先高観や先安観で市場が成立しているのではない。
売り方も買い方もバックミラーを見ながら運転している投資家」。
そんな使い方もあれば・・・。
「バックミラーだけを見て運転するのはアブナイ。
過去の傾向が続くと皆が信じることは怖い」。
そういう使われ方もする。
一番目にするのはトレンド追随型の市場観測。
「上がれば強気、下がれば弱気」あるいは「昨日の弱気は今日強気なって明日弱気に戻る」。
「過去に厚く未来に寡黙」というのもバックミラー的相場観測だろう。
つまり市場のコメントの多くは「起きたことに対する原因の遡及」。
もっと簡単に言えば「犯人探しゲーム」。
残念ながら「主人公さがし」ではない。
本来市場が求めているのは「明日はどうなる」。
登場するのは「昨日はこうだった」。
重要なのは今起きていることというのは間違いないだろう。
ピヨンチャンで試合が行われているのにソルトレイクやソチの映像を見せられたらきっと怒る筈。
これが市場では起きないから不思議だ。
もっとも・・・。
このアンバランスが微妙に絡まって市場が展開されるから面白い。
「澪標」がなければ船も動けないし、株も動けないのかも知れない。
荒れ果てた蓬生からようやく早蕨までやってきた株式市場。
夢浮橋はまだ遠い。
現実と夢の世界の区別がつかないことは「胡蝶の夢」。
今日はそんな感じだろうか。
「配当込みで見れば、TOPIXは今年89年高値奪還も」と大和のレポート。
1月23日のTOPIX高値1911ポイントは89年末の高値比66.3%だった。
ただ配当込みで見ると96.1%まで戻してきたことになる。
(つまり31%が配当再投資寄与となる)。
89年末から東証1部に在籍しているのは767社。
このうち2月20日までに配当込み収益がプラスなのは307社。
(株価は1989年末比プラスなのは194社。
因みに配当込み上昇率上位は・・・。
久光(4530)1486.0%。
参天(4536)1230.1%。
ユニチャーム(8113)1221.8%。
HOYA(7741)1013.1%。
シマノ(7309)944.1%。
東エレ(8035)932.76%。
村田(6981)873.3%。
イズミ(8273)835.6%。
信越(4063)757.9%。
SMC(6273)732.7%。
興味深かった話は古銭と骨董の収集家の心構えの差。
骨董の世界では目の前に現れたものが贋物ではないかと疑ってかかるところから入っていく。
一方古銭、古貨幣の収集家は目の前の物が本物であるという前提で話が進む。
骨董も古銭も傍から見れば同じようなものだが決定的な違いがあるという。
株の銘柄や材料に対する態度はどうだろう。
材料を贋物と見るか、材料を本物の夢や悪夢と捉えるか。
これは人様々だ。
しかし疑いを持たないからといってポートフォリオが贋物ばかりとはならないだろう。
ここは救いかも知れない。
(櫻井)。
