NYダウは反発し336ドル高、貿易摩擦の懸念後退

5日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに大幅反発し、前週末比336ドル70セント高の2万4874ドル76セントで終えた。
トランプ大統領による鉄鋼・アルミニウムの関税導入の方針について、ライアン下院議長が反対と懸念を表明したものの、撤回する意思がないことが報じられ売りが先行した。
 
しかしながら、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況感指数の予想が上振れ米景気への楽観論も相場を支えた。
2月の非製造業景況感指数は59.5と前月から0.4ポイント低下した。ISMが正式に公表を始めた2008年以来の最高水準だった前月から小幅な低下にとどまり、市場予想(59.0程度)も上回った。
 
また、原油相場の上昇が好感され上昇に転じた。また北米自由貿易協定(NAFTA)を見直すことを条件に、同地域への関税導入を見送る可能性が報じられたことも好感された。
 
1日に今週にも署名すると表明していた大統領令を発令する気配が、現時点で乏しいのも投資家心理の支えになった。「政権内の自由貿易主義者が忙しく働いているため」との観測が広がった。
先週の株価下落受けた買い戻しの動きも広がり、ダウは一時400ドルに迫る上昇となった。
 
中国など新興国との貿易摩擦が強まれば、収益回復が足踏みするとみられていたキャタピラーが3%高。原材料のアルミ価格の上昇が収益を圧迫するとの見方から売り込まれていた航空機のボーイングも2%上げた。2銘柄でダウ平均を88ドルあまり押し上げた。
 
 
ナスダック総合株価指数は大幅に続伸し、前週末比72.838ポイント高の7330.705で終えた。アナリストが投資判断を引き上げた動画配信のネットフリックスが上場来高値を付けた。フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど主力株も軒並み買われた。
 
セクター別では全面高となり、保険や公益事業の上昇が目立った。
 
個別では、アナリストが投資判断を引き上げた製薬大手バリアント・ファーマシューティカル・インターナショナルと半導体のマイクロチップ・テクノロジーが上昇。損害保険会社のXLグループ(XL)は、仏の同業アクサによる153億ドルでの買収に合意し30%近い大幅上昇。ネット小売のアマゾン(AMZN)と大手行のJPモルガン(JPM)は、預金口座サービスの提供で協議を進めており、ともに買われた。
 
一方、導体のクアルコム(QCOM)は、対米外国投資委員会(CFIUS)が年次株主総会の開催と取締役選任の30日間延期を求める仮命令を出し売られた。
 
 
VIX指数は18.73と低下(前営業日19.59)。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争により、米主要3指数は軒並み下落して始まり、ダウ平均は一時3桁を超える下げ幅を見せた。
しかし、イタリアのハングパーラメント状態でも同国株以外の欧州株が反発し、独DAXは1.5%弱の上げ幅を見せたことで米株も上昇基調に入ると、VIX指数も一時17.94まで下落した。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,874.76+336.70
S&P500種2,720.94+29.69
ナスダック
7,330.705+72.838
 
米10年債利回り(%)
2.8826 +0.026
米2年債利回り(%)
 
2.2418 +0.004
NY金(ドル/トロイオンス)
1,319.90-3.50   
NY原油(ドル/バレル)
62.61+1.36
円・ドル
106.17 – 106.18+0.78
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前週末比285円高の2万1410円で引け、同日の大取終値を420円上回った。
貿易戦争の懸念が薄れて米株が反発し、日本株も買われてこの日の高値近くで引けた。
米トランプ政権は先週に鉄鋼などの輸入関税引き上げ検討を表明したが、投資家の間で実現を疑問視する見方が出た。
この日の3月物高値は2万1460円、安値は2万0845円。

 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21410 ( +420 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21415 ( +425 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7115.98(+46.08)
FTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに反発した。前週末2日の終値に比べ46.08ポイント高の7115.98で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。
石油株と医薬品株の上げが指数を押し上げた。鉱業株の上げも指数の押し上げ要因となった。
個別では、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルが買われた。アントファガスタなど鉱業株も軒並み上昇した。
グラクソ・スミスクラインなど医薬品株とオールド・ミューチュアルなど保険株、パーシモンなど住宅建設株も高くなった。
 
半面、銀行のスタンダードチャータード銀行とHSBCホールディングスは下がった。害虫駆除のレントキル・イニシャルは4%超の下落。ロシアの鉄鋼大手エブラズと欧州有料テレビ大手のスカイ、資産運用のスタンダード・ライフ・アバディーンも売られた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12090.87(+177.16)
ドイツ株式指数(DAX)は5営業日ぶりに反発した。
終値は前週末2日と比べて177.16ポイント高の12090.87だった。ドイツ大連立政権の樹立が確実となったことから、買いが広がり、午後遅くには上げ幅を拡大した。一方で、イタリアの政局不安から同国の株式相場は下落した。
 
個別では、電力のRWEとエーオン、半導体のインフィニオンテクノロジーズは買われた。半面、下落したのは5銘柄だけだった。
トランプ米大統領が3日、「欧州車に関税を課す」とツイッターに投稿したことから、自動車のBMWとフォルクスワーゲン、ダイムラーが売られた。放送大手のプロジーベンザット1メディアとコメルツ銀行も下落した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5167.23(+30.65)

株ちゃんofficial xはこちら!
目次