ダウ反落し16ドル安、中国の米国債購入縮小の観測で利益確定売り

10日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比16ドル67セント安の2万5369ドル13セントで取引を終えた。
前日に米主要3指数がそろって過去最高値を更新した後とあって、利益確定目的の売りも出やすかった。
 
中国政府が米国債購入の縮小や停止を検討していると観測報道を受け、米国債の保有額が世界最大の中国が仮に購入を減らせば米債券市場への影響は大きく、米10年債利回りは一時2.60%近辺まで上昇した。朝方の債券売りを受けて、米株式市場も大幅安で取引をスタートし、ダウは一時130ドル近く下落した。
配当利回り狙いで買われやすい不動産や公益事業株を中心に売りが優勢だった。
 
午後にはカナダ政府関係者の話として、トランプ米大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)からの脱退を表明するようだと伝わった。メキシコに工場を持つゼネラル・モーターズ(GM)などが売られ、相場の重荷にもなった。
 
ただ下値は堅かった。10-12月決算発表シーズンを前に企業業績への期待感から下げ幅を縮小した。長期金利上昇で利ざやが改善するとの観測から金融株が買われ、相場を下支えした。昨年の年末商戦が好調だったとの発表が相次いでいる百貨店株も上昇が目立った。
 
ナスダック総合株価指数は今年初めて下落した。前日比10.006ポイント安の7153.572で終えた。インテルなど半導体関連株が軟調。マイクロソフトやアルファベット(グーグル)など主力ネット関連株も指数を押し下げた。
 
セクター別では、銀行や各種金融が上昇する一方で自動車・自動車部品や不動産が下落した。
 
個別では、米地方放送局約10局を買収する方向で交渉中と伝わった21世紀フォックスが下げた。年末商戦が振るわなかった宝飾品販売のシグネット・ジュエラーズが大幅安。宅配ピザ会社のドミノ・ピザ(DPZ)は、CEOの退任が報じられ下落した。
 
一方、前日に独自の仮想通貨の発行を発表したイーストマン・コダックが急伸した。小売大手のシアーズ・ホールディングス(SHLD)は、1億ドルの資金調達を発表し堅調推移となった。前日夕に採算見通し引き上げを発表した米空運大手のユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス(UAL)にも買いが集まった。年末商戦期の既存店売上高が好調だったと発表した百貨店のノードストロームも買われた。
 
 VIX指数は9.82と下落(前営業日10.08)。VIX指数は、中国が米国債購入の減額を検討、との報道を受けて米10年債利回りが2.59%台まで上昇し、NYダウ平均が25256ドルまで売られた局面で一時10.85まで上昇した。しかし、米国10年債利回りが、10年債リオープン入札が好調だったことで2.54%台まで低下したことで、9.82まで下落した。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,369.13-16.67             
S&P500種
2,748.23-3.06
ナスダック
7,153.572-10.006
米10年債利回り(%)
2.5586 +0.013
米2年債利回り(%)
1.9765 +0.008
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,319.30+5.60   
NY原油(ドル/バレル)
63.50+0.54
円・ドル
111.38 – 111.39-0.55
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比220円安の2万3615円で引け、前夜の大取終値を185円下回った。
中国が米国債購入の減額や停止を検討しているとのメディア報道などを受け米長期金利の上昇、円高が進み、米株が相場を下押した。これを受けシカゴ日経平均先物の売り材料になった。
3月物は一時2万3550円まで下げた。この日の3月物高値は2万3850円。

シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23615 ( -185 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23640 ( -160 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7748.51(+17.49)
FTSE100種総合株価指数は続伸した。前日9日の終値に比べ17.49ポイント高の7748.51と、前日に付けた最高値を更新した。ただ、構成銘柄の約6割は下落した。
 
午前にポンドが対ドルで急速に上昇したことに伴い、株価指数は下落に転じる場面もあったが、その後ポンドが再び下落すると指数も上昇した。欧米の長期金利上昇を受けて、金利高が業績に与える好影響が期待され銀行株が買われ、指数押し上げに貢献した。
 
個別では、銀行のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、アナリストによる投資判断引き上げもあり4%超の上昇。スタンダードチャータード銀行とHSBCホールディングスの上げも目立った。プルーデンシャルなど保険株も堅調だった。
クリスマス時期の売上高が市場予想を上回ったスーパーマーケットのセインズベリーも上昇した。
 
半面、午前に発表された昨年11月の英住宅建設が低調だったことなどを受けて、関連株が売られた。テイラー・ウィンピーは、2017年の業績が予想範囲内にとどまるとの見方を示したことも嫌気され4%安。
国債利回りの上昇で高配当株への投資魅力が低下し、医薬品株も下がった。携帯電話サービスのボーダフォン・グループの下げも大きくなった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13281.34(-104.25)
ドイツ株式指数(DAX)は6営業日ぶりに反落した。前日9日の終値に比べ104.25ポイント安の13281.34だった。
個別では、タイヤのコンチネンタルと放送大手のプロジーベンザット1メディア、不動産のボノビアが売られた。一方で、欧米の長期金利上昇の恩恵を受けるとの見方から銀行株が買われた。コメルツ銀行は5%超、ドイツ銀行は約3%、それぞれ上昇した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5504.68(-19.26)

 

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