29日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前週末比177ドル23セント安の2万6439ドル48セントで終えた。下げ幅は昨年9月5日以来の大きさ。
前週の株価上昇を受けて利益確定の動きが広がり、売りが先行した。米国債利回りが2014年以来の高水準に上昇したことが嫌気され、終日軟調推移となった。
また、今週は複数の主要企業決算やトランプ大統領の一般教書演説が予定されており、投資家の様子見姿勢が強まった。
アップルが売られ、相場の下げ圧力になった。日経電子版が1~3月期にスマートフォン(スマホ)の最新モデル「iPhoneX(テン)」を減産すると報じ、売り材料視された。前週に決算発表を通過した建機キャタピラーも売られ、2銘柄でダウ平均を約55ドル押し下げた。
これまで発表になった企業決算が総じて良好で、ダウ平均は前週に545ドル上げており「注目決算を前に様子見ムードが広がった」との声がある。
債券市場で米長期金利が3年9カ月ぶりの高水準を付けたことも、IT関連株を中心に株式相場の重荷になった。商品市場では原油先物相場が小幅安となり、シェブロンなど石油株の売りにつながった。
ナスダック総合株価指数は反落し、前週末比39.267ポイント低い7466.505で終えた。アップルやフェイスブックといった主力株の一角が下げ、ラム・リサーチやアプライドマテリアルズなど半導体製造装置の売りが目立った。
セクター別では、食品・生活必需品小売や小売が上昇する一方でエネルギーやテクノロジー・ハード・機器が下落した。
個別では、VMウェア(VMW) はPCメーカーのデルによる買収検討が報じられていたが、デルがVMウェアに買収される形での合併(リバース・マージャー)を目指すという選択肢が浮上し、失望売りから大幅下落した。カジノ大手のウィン・リゾーツも大幅安。創業者がセクハラ疑惑で最高経営責任者(CEO)を退任し、拠点があるマカオ当局も同案件で経営陣に接触したと伝わった。
住宅建設のレナーやDRホートンは、ローン金利上昇で住宅購入が鈍るとの懸念が売りを誘った。
一方で、清涼飲料メーカーのドクターペッパー・スナップル・グループ(DPS)はコーヒーメーカーのキューリグ・グリーン・マウンテンによる187億ドルの買収に合意し、20%を超す大幅上昇。防衛企業のロッキード・マーティン(LMT)は決算内容が好感され上昇した。
欧州投資ファンドJABホールディング傘下で飲料機器メーカーのキューリグ・グリーン・マウンテンと合併すると発表し、好感された。目標株価の引き上げが伝わった動画配信大手のネットフリックスも上げた。
VIX指数は13.84と上昇(前営業日11.08)。米株は、寄り付き前に発表となったロッキード・マーチン決算の売上高は市場予想レンジを上回る強さを見せたものの、アップルのI Phone減産観測が響き大幅に反落した。
VIX指数は13.84と、大きな上振れを見せ、昨年12月1日以来の高水準をつけた。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,439.48-177.23
S&P500種
2,853.53-19.34
ナスダック
7,466.505-39.267
米10年債利回り(%)
2.694 +0.031
NY金(ドル/トロイオンス)
1,340.30-11.80
NY原油(ドル/バレル)
65.52-0.62
円・ドル
108.94 – 108.95 +0.01
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。3月物は前週末比190円安の2万3535円で引け、前日の大阪取引所終値を75円下回った。
米金利上昇や原油安を背景に米株に利益確定の売りが強まり、日経平均先物も連れ安した。ただ、円相場下落が下値を支える場面もあった。
この日の3月物安値は2万3475円、高値は2万3775円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23535 ( -75 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23555 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7671.53(+5.99)
FTSE100種総合株価指数は小幅続伸。前週末終値に比べ5.99ポイント高の7671.53で引けた。約6割の銘柄が下落したが、株価指数への寄与度の高い資源株の上昇が指数を押し上げた。一方で公益事業株やブリティッシュ・アメリカン・タバコ株などが安くなり、上値を抑えた。
銅価格の上昇を背景に鉱業株が軒並み買われた。なかでも資源商社のグレンコアとリオ・ティントが大幅高で引けた。石油株もほぼ全面高。クルーズのカーニバルと航空・防衛のBAEシステムズも上げた。
半面、公益事業の水道のセバーン・トレントと総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズが大幅下落した。
利益確定などの売りで前週末に上昇した航空株と医薬品の一角が下落したほか、午前は買いが先行していた住宅建設株も売りに転じた。銀行株も軟調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13324.48(-15.69)
ドイツ株式指数(DAX)は反落。終値は前週末比15.69ポイント安の13324.48だった。
アナリストが投資判断を引き下げたコメルツ銀行が安かった。ドイツ銀行も連れ安。ハイデルベルクセメントと不動産のボノビアも売られた。医薬・化学大手のメルクは業界再編の思惑などで下落した。一
方で工業用ガスのリンデ、電力のRWE、アナリストが目標株価を引き上げた放送大手のプロジーベンザット1メディアが上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5521.59(-7.56)
フランスの株価指数CAC40は下落した。
欧州の主要株式相場では、イタリアのFTSE・MIB、スペインのIBEX35もそろって下落した。
