20日のNYダウ工業株30種平均は前週末比72ドル09セント高の２万3430ドル33セントで取引を終えた。
ドイツの政局混乱に対する懸念が一服し買いが先行した。10月景気先行指数が予想を上振れたほか、先週の株価下落を受けた買い戻しが入り、堅調推移した。一方で、税制改革を巡る不透明感から投資家のリスク回避姿勢も根強く、上値は限られた。
ドイツでメルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟が進めていた３党連立協議が19日に決裂した。同国政治の不透明感から欧州の主要株式相場には売りが先行したが、売り一巡後は持ち直した。欧州の通貨や債券相場の動きも落ち着いており、米国株も買いが優勢となった。
ただ、相場の上値は重かった。今週は23日が感謝祭の祝日で24日は短縮取引となる。米議会は休会で、重要な米経済指標や企業業績の発表も少ない。積極的な取引を控える市場関係者が多かったという。
イエレン米連邦準備理事会（FRB）議長が20日、パウエル次期議長が就任した時点で理事ポストからも退任すると表明した。市場では議長の理事退任が広く予想されていたため、相場の反応は目立たなかった。
ナスダック総合株価指数は同7.923ポイント高の6790.714で終えた。
セクター別では、自動車・自動車部品や電気通信サービスが上昇する一方でメディアや医薬品・バイオテクノロジーが下落した。
個別では、半導体のマーベル・テクノロジー・グループ(MRVL)は、同業カビウム(CAVM)と60億ドルで買収合意し、上昇。中国電子商取引のアリババ・グループ(BABA)は中国スーパー大手のサン・アート株を29億ドル相当取得し、買われた。
証券会社による投資判断の引き上げが伝わった自動車部品のデルファイ・オートモーティブが買われた。金融システム上の重要な金融機関との認定解除を規制当局に求める方針を公表した地銀大手のザイオンズ・バンコープが上昇した。
一方、メディアのタイムワーナーが下落。通信のAT&Tが買収することで合意済みだが、司法省が20日に反トラスト法違反で訴訟する見通しと報じられて売りを誘った。
ＮＹダウ工業株30種（ドル）
23,430.33＋72.09
S&P500種
2,582.14＋3.29
ナスダック
6,790.714＋7.923
米10年債利回り（％）
2.3683 +0.014
米2年債利回り（％）
1.7546 +0.025
ＮＹ原油（ドル/バレル）
56.23－0.32
円・ドル112.63 – 112.64 ＋0.59
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前週末比130円高の２万2460円で取引を終え、大阪取引所の終値を220円上回った。ドイツ政局の不透明感にも関わらず欧州株が総じて高く終えたことで、米相場では投資家が運用リスクを取る動きが優勢となった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22460 ( +220 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22465 ( +225 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7389.46（＋8.78）
FTSE100種総合株価指数は反発した。前週末17日の終値に比べ8.78ポイント高の7389.46で引けた。鉱業株と食品・日用品のユニリーバの上げが指数を押し上げ、構成銘柄の半数以上は上昇した。株価指数は午前に上昇に転じた後、午後は高値圏で横ばいだった。
食品・日用品のユニリーバの上げも指数上昇に貢献した。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたバークレイズの上げが目立った。
半面、医薬品のシャイアーは売られた。スイスの同業ロシュががん治療薬などの治験で好結果を出したことが売り材料となった。
医療のメディクリニック・インターナショナルも約３％下落した。同社が英同業のスパイア・ヘルスケアの未保有株式取得について、新たな申し出をしない意向を明らかにした。アナリストによる株価目標引き下げも響いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13058.66（＋64.93）
ドイツ株式指数（DAX）は反発した。終値は前週末17日と比べて64.93ポイント高の13058.66だった。ドイツで連立政権の交渉が決裂したことを受けて政局の不透明感から売りで始まったが、その後上昇に転じた。
自動車のフォルクスワーゲン（VW）は４％超上昇した。新興国での新型多目的スポーツ車（SUV）の需要増を理由に、2020年までの売上高目標を引き上げたことなどが好感された。一方で、医療機器のフレゼニウスとアディダスは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5340.45（＋21.28）
