NY株式市場は小幅に続落。
議会下院は上院に次いで法人税率の大幅な引き下げなどを柱とする税制改革法案の最終案を再可決した。
「 約30年ぶりの大幅な税制改革となる法案。
法人税率を来年1月1日から現行の35%から21%に引き下げる方向。
企業の利益を押し上げ、増配や自社株買いに道が開ける可能性がある」という声もある、
しかし材料出尽くし感が台頭した格好。
もっともダウ輸送株指数は初めて1万0600ポイントを突破(0.9%上昇)。
終値ベースで過去最高値を更新した。
下院で税制改革法案が通過した11月半ば以降、ダウ輸送株指数は12.5%上昇。
一方でS&P500は4.6%の上昇。
国債利回りは上昇。
背景は11月の米中古住宅販売戸数は2006年12月以来約11年ぶりの高水準。
「これまでの約1年間不調が続いていた米住宅市場が勢いを取り戻している」という解釈だ。
ドルは円とスイスフランを除く主要通貨に対して下落。
通信大手AT&Tの大盤振る舞い。
税制改革法案が成立した場合には20万人強の社員にそれぞれ1000ドルの賞与を支給。
来年中に米国で10億ドルを追加投資すると発表した。
AT&Tの全社員は25万人余。
賞与支給に伴う費用は約2億3000万ドル。
ボーイングはCEOが税制改革を称賛。
社員の研修訓練などに3億ドルを投資する方針を示した。
水曜の日経平均は前場マイナス後場プラス。
後場は米議会上院での税制改革法案決議が伝わったが反応薄。
「先週金曜から×○×○と千鳥足の迷走状態。
方向感に乏しい展開」という見方だ。
金融・自動車・商社というオールドファッションが市場をけん引していることが救いだろう。
「23000円を阻んでいるのはゼネコン不祥事」という声も聞こえる。
11月の訪日外国人客数は前年同月比27%増の237万7900人。
韓国、中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ロシアの増加率が3割を超えた。
2017年1~11月の合計は2616万人で前年同時期よりも19%増。
通年では2800万人を超える見通しとなった。
インバウンド健在の印象だ。
12月15日時点の裁定買い残は前週比418億円減 (4週ぶり減少)の3兆542億円。
裁定売り残は前週比172億円増 (2週ぶり増加)の3067億円。
空売り比率が34.2%まで低下したのは好感される。
シカゴ225先物終値は日中比35円安の22825円。
ボリンジャーのプラス1σ(22833円)が一応アシスト。
プラス2σ(23069円)は少し遠い。
薄い勝手雲が少し膨らんできたのはボラの増加の前触れかも知れない。
クリスマスウィークで材料薄。
影が薄いながらも行われるのは日銀金融政策決定会合。
もっともノーサプライズでの通過見通しではあるが暇な時間帯だけに昼休みは少し神経質になろうか。
見逃しそうな話題が2つ。
一つは「産業ビッグデータ標準化」という経産・総務省の目論見。
自動走行、バイオ・素材、プラントなどの分野でのデータの基準を作り始めるという。
国の方向性の表現されたシロモノということになろう。
もう一つはTPPと日欧EPAの経済効果の試算。
GDPの押上効果はそれぞれ8兆円と5兆円で合計13兆円。
雇用はそれぞれ46万人、29万人増加と試算された。
2015年の政府試算では米国を含んだTPPでGDP14兆円増、雇用80万人増だった。
ほぼうまい具合にココに並ぶ数字ということは、官僚の計算の上手さなのだろうか。
興味深いデータは「2017年のIPO初値投資の検証」。
東証一部 11勝0敗 勝率100% 平均利益率 5.14%
東証二部 5勝0敗 勝率100% 平均利益率 5.23%
JASDAQ 15勝1敗 勝率 94% 平均利益率12.35%
マザーズ 40勝8敗 勝率 80% 平均利益率10.00%
NYダウは28ドル安の24726ドルと続落。
NASDAQは2ポイント安の6960ポイント。
S&P500は2ポイント安の2679ポイント。
ダウ輸送株指数は94ポイント高10630ポイント。
3市場の売買高は61.7億株。
CME円建ては大証比35円安の22825円。
ドル建ては大証比5ポイント安の22855ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比30円安の22830円。
ドル円は113.41円。
10年国債利回りは2.497%。
非公式外資系5社動向は売り490万株、買い410万株。
金額ベースは18億円の買い越し(2日ぶり)。
売りセクターは陸運セクターなど。
買いセクターは電機・化学・ETF・証券・REITセクターなど。
売買交錯は情報通信セクターなど。
◇━━━ カタリスト ━━━◇
ワイヤレスゲート(9419)・・・動兆。
ワイヤレスゲートに注目する。
同社は公衆無線LAN、WiMAXサービスを展開。
ヨドバシでの販売が特色。
今期はWiMAXが顧客流出防止策奏功。
産業用IoT向け検証キットが拡大基調。
病院や工場向けも堅調。
昨日タンジェリンへの追加出資を発表。
訪日外国人旅行者への効果的な多言語情報への対応となる。
流通小売、飲食、大型商業施設、観光地などでのサービスは拡大しよう。
経産省の「おもてなしプラットフォーム」の実証事業の一部にもなる筈だ。
もう一つのポイントはモバイル・インターネットキャピタルと共同で設立した株式会社LTE-X。
WiーFi技術を活用したIoT向け高速通信サービスへの参入だ。
産業用IoT接続としてメインストリームと想定される「高速・大容量・高セキュリティ」。
ここに参入の意義があろう。
灯台下暗しながら意外なところに「IoT」関連はあった。
(兜町カタリスト櫻井)
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