3日のNYダウ工業株30種平均が4日続伸した。前日比22ドル93セント高の2万3539ドル19セントで取引を終え、連日で過去最高値を更新した。
10月雇用統計で失業率が低下し、非農業部門就業者数が回復したものの、予想を下振れたことで寄付き後は小動きとなった。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した10月の非製造業景況感指数や9月製造業受注指数が予想を上振れたほか、ハイテク株が選好され、堅調推移となった。ダウ、S&P500、ナスダック総合指数は揃って最高値を更新した。
米経済指標を受けて米景気に対する楽観が改めて広がった。ただ週末で利益確定や持ち高調整目的の売りが出やすく、上値は重かった。
米景気は底堅いものの賃金の上昇圧力は鈍く、利上げ観測は高まりにくい。好景気と低金利が両立し、株式投資に最適な環境が続くと受け止められた。
前日にはトランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にパウエルFRB理事を指名した。パウエル氏はイエレン議長と金融政策の考え方が近いとされ、緩やかに金融政策の正常化を進める方針を引き継ぐとの見方も米国株の安心感につながった。
前日夕に発表した7~9月期決算が市場予想を上回り、業績見通しも強気だったアップルが2%強上昇。1銘柄でダウ平均を約30ドル押し上げた。
一方、今週に入って米金利がじりじりと水準を切り下げており、利ざやが縮小するとして金融株が売られ、相場の重荷となった。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発し、同49.492ポイント高の6764.435と過去最高値で終えた。高値更新は3日ぶり。時価総額最大のアップルに加え、アルファベットやフェイスブックなど大型ハイテク株が軒並み上げ、指数を押し上げた。
S&P500種株価指数も上昇し、主要3指数がそろって過去最高値を更新した。
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や半導体・半導体製造装置が上昇する一方で自動車・自動車部品や保険が下落した。
個別では、半導体のクアルコム(QCOM)は同業ブロードコムによる買収検討が報じられ、大幅上昇。携帯端末のアップル(AAPL)は好決算を発表し、10-12月期の売上高見通しが予想を上振れ、堅調推移した。携帯電話のスプリントも高い。前日にTモバイルUSと統合交渉を続けていると報道され、再編期待の買いが入った。
一方で、損害保険のAIG(AIG)はハリケーン関連の保険金支払い等で赤字決算となり、下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,539.19+22.93
S&P500種
2,587.84 +7.99
ナスダック
6,764.435+49.492
米10年債利回り(%)
2.3325 -0.017
米2年債利回り(%)
1.6165 +0.004
NY原油(ドル/バレル)
55.70+1.16
円・ドル
114.07 – 114.08 -0.01
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は4営業日続伸した。12月物は前日比45円高の2万2605円で引け、2日の大取終値を125円上回った。この日のNYダウ平均など主要3指数が過去最高値を更新し、日本株にも買いが波及した。円相場の反落も買い材料になった。
この日の12月物高値は2万2640円、安値は2万2500円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22605 ( +125 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22625 ( +145 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は続伸。前日終値に比べ5.03ポイント高の7560.35と、10月12日に付けた最高値を更新して引けた。構成銘柄の半数以上が上昇した。ポンド安を背景にした買いがやや優勢だった。ただ鉱業株や石油株が売りに転じ、終盤にかけて上げ幅を縮小した。
通貨安の恩恵を受けやすいとされる多国籍企業銘柄が買われた。飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングや信用調査のエクスペリアン、酒類のディアジオ、食品サービスのコンパス・グループなどが上昇し、指数を押し上げた。
半面、通貨安を背景に鉱業株と石油株は、軒並み下落して引けた。週末を控え、足元の利益確定目的の売りが出た。たばこのインペリアル・ブランズ、医薬品のシャイアーも売りに転じた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は反発。終値は前日比37.93ポイント高の13478.86だった。2日ぶりに最高値を更新した。
半導体のインフィニオンテクノロジーズと医薬・農薬大手のバイエルが高かった。それぞれアナリストが目標株価を引き上げた。一時頓挫した子会社のTモバイルUSと米スプリントの経営統合交渉が続いていると伝わったことで買われた。
一方、銀行株が安かった。ハイデルベルクセメントの下げも目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,517.97+7.47
フランスの株価指数CAC40は小幅上昇。
欧州の主要株式市場はやや軟調だった。イタリアのFTSE・MIBは利益確定の売りが先行し、小幅安。スペインのIBEX35は3日続落。約1%の下落。スペイン北東部カタルーニャの独立問題を巡って、プチデモン前カタルーニャ州首相らへの厳しい対応が取り沙汰される中、投資家心理が悪化した。
