〔米株式〕ダウ3日続落、443ドル安=インフレ懸念広がる
20日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前日比443ドル96セント安の4万5577ドル47セントだった。2025年10月以来の安値。
米軍がイランに対する軍事攻撃を拡大する可能性が意識され、週末を前に投資家のリスク回避姿勢が強まった。
中東を巡って週末の間に事態が大きく動く可能性が意識された。ダウ平均の下げ幅は午後に650ドルを超える場面があった。2月に付けた過去最高値(5万0188ドル)からの下落率は9%を超えた。
トランプ米大統領は19日の記者会見で「中東に部隊を追加派遣することはないが、するとしても言わないだろう」と述べていた。米CBSは20日午後に、米国防総省が地上軍の投入に向けて準備をしていると報じた。米国防総省が追加で戦艦と部隊を中東に派遣しているとも伝わった。
エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の輸送正常化にも時間がかかるとの見方がある。イスラエルがイランの原油・ガス施設への攻撃を自重する姿勢を示す一方、イランは湾岸諸国のエネルギーインフラへの攻撃を続けている。20日にはイラクが海外資本の油田に関して供給責任を免れるフォースマジュール(不可抗力宣言)を出したと伝わった。
米原油先物市場では期近4月物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は通常取引を前日比2%超高い1バレル98ドル台で終えた後、99ドル台後半に上昇する場面があった。
インフレ懸念が強まるなか、米利下げ観測の後退も米国株の売りを誘った。
米連邦準備理事会(FRB)のウォラーFRB理事はこの日、米テレビのインタビューで、米イスラエルとイランの紛争で原油価格高騰の継続を踏まえ、「インフレが当初の想定よりも懸念される」と表明した。これまで金融緩和に前向きな姿勢を取ってきたが、市場では「(慎重な)タカ派に転じた」(日系証券)との見方が浮上。FRBの利下げ観測が一段と後退し、長期金利が急上昇したことから、ハイテクなど幅広い銘柄が売られた。
20日の米債券市場では米長期金利の指標である10年債利回りが前日比0.14%高い(価格は安い)4.39%と、昨年8月以来の高水準を付ける場面があった。欧州中央銀行(ECB)など欧州中銀が利上げに動くとの観測もあり、世界的に金利の先高観が強まっている。
ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやハネウェル・インターナショナル、エヌビディアのが下げが目立った。シャーウィン・ウィリアムズやキャタピラーも安かった。一方、ベライゾン・コミュニケーションズやシェブロン、ビザが上げた。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、終値は前日比443.080ポイント安の2万1647.611だった。テスラやメタプラットフォームズ、マイクロン・テクノロジーなどの下げが目立った。
サーバーなどを手掛けるスーパー・マイクロ・コンピューターは3割下げた。エヌビディアの半導体を搭載したサーバーを中国に不正輸出したとして同社の共同創業者らが起訴されたことが19日に分かり、経営への影響が懸念された。一方、サーバーなどで競合するデル・テクノロジーズは上げた。
〔ロンドン株20日 続落〕
20日の英FTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日比145.17ポイント安の9918.33と2025年12月29日以来、約2カ月半ぶりの安値で終えた。節目として意識される1万を下回り、26年に入って以降の上昇分が帳消しとなった。
FTSE100種指数は週間で3.34%安となり、3週連続で下落した。米国・イスラエルがイラン攻撃を開始する直前の2月27日と比べると9.09%下落した。
英国や欧米で長期金利が上昇し、嫌気された。原油・天然ガスの先高観測から、エネルギー高が英景気の重荷になるとの懸念が強い。インフレを警戒する英イングランド銀行(中央銀行)による利下げの観測後退も背景にある。
20日は金融や石油、公益など幅広い業種で売りが優勢となった。不動産投資信託(REIT)や住宅建設株が下げた。他方、空運株が上げたほか、鉱業の一角が買われた。欧米メディアの観測報道を受け、食品事業が買収提案を受けたと認めたユニリーバが上昇した。
〔ドイツ株20日 続落〕
20日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落した。前日比459.37ポイント安の2万2380.19と2025年4月下旬以来の安値で終えた。
前週末の13日比では4.5%下げた。週間では3週連続の下落で、米国・イスラエルがイラン攻撃を開始する直前の営業日となる2月27日と比べ11.4%安い水準となる。
エネルギー価格の上昇を通じたインフレ圧力の強まりが意識され、欧州中央銀行(ECB)などの利上げ観測が台頭。景気の先行き不透明感も重なり、売りが膨らむ展開が続いた。
中東情勢の混迷が投資家心理の重荷となっているほか、原油・天然ガス価格の上昇が欧州景気を下押しするとの警戒感もある。欧米金利の上昇も嫌気された。公益や金融、ヘルスケア関連のほかソフトウエアの独SAP、独シーメンス・エナジーが下げた。他方、半導体のインフィニオンテクノロジーズ、国際物流の独DHLグループやスポーツ用品大手アディダスが上昇した。
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は3日続落した。終値は前日比1.82%安の7665.62と25年9月上旬以来、6カ月半ぶりの安値だった。週間では3.1%下落した。
