〔米株式〕ダウ反発、230ドル高=相互関税の違憲判決受け
20日のNYダウ工業株30種平均は反発し、終値は前日比230ドル81セント(0.46%)高の4万9625ドル97セントだった。米連邦最高裁がトランプ米政権の課した相互関税などに違憲判決を下し、相場の支えとなった。ダウ平均は一時300ドルあまり上げた。
米最高裁は20日、トランプ米大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて主要な貿易相手国に課していた相互関税など一連の関税を「違憲」とする判決を出した。全米小売業協会(NRF)は同日公表の声明で、判決は「米企業や製造業者が切実に求めていた予見可能性をもたらす」と表明し、下級裁判所に対して米輸入業者への関税還付手続きを円滑に進めるように促した。関税政策が見直されれば、景気や企業業績にプラスになるとの観測が広がった。
トランプ氏は20日午後に開いた記者会見で、判決に「深く失望的した」と語った。通商法122条に基づき、すべての国・地域に10%の関税を課す大統領令に署名するとも明らかにした。122条は貿易赤字に対処するため最大15%の関税を最長150日間課すことを認めている。通商法301条に基づいて不公平な貿易慣行から米国を守るため、調査を開始するとも述べた。
「市場はネガティブに受け止めていないようだ。ハイテク分野への楽観が強いなか、テック株へのローテーション(資金移動)が優勢となって相場を支えた」との声が聞かれた。「市場の予想通り、違憲の判断が下されたのは追い風だった」との見方もあった。
過去に徴収された関税の還付手続きなどを巡る不透明感は残る。ただトランプ氏が次の一手を示したことで不確実性の高まりは回避されたとの指摘も出ていた。週末を控えた持ち高調整の買いが入った面もあった。
米商務省が朝に発表した2025年10~12月期の実質GDP速報値は年率換算で前期比1.4%増加。伸びは前期(4.4%)から急減速し、市場予想(3.0%増=ロイター通信調べ)も大きく下回った。さらに、米商務省が20日発表した2025年12月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.9%上昇し、伸び率は前月(2.8%)から拡大。根強い物価上昇圧力や景気減速を示す指標が嫌気されてダウ平均は朝方に200ドルあまり下げる場面があった。
インフレが粘り強いなかで経済成長が鈍化しているとして、売りが先行した。「米連邦準備理事会(FRB)内の金融政策を巡る意見対立を長引かせる内容だった」と受け止められた。
トランプ氏は20日、米国がイランに核問題を巡る合意を迫るために限定的な軍事攻撃をする可能性があるかと聞かれ、「検討していると言ってもいいだろう」と答えたと伝わった。米国とイランの緊張が高まっているのは投資家心理の重荷だった。
ダウ平均の構成銘柄では、アマゾン・ドット・コムやトラベラーズ、アップルやハネウェル・インターナショナルが上げた。半面、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やボーイング、シェブロンは安かった。前日に四半期決算の発表を受けて下落していたウォルマートの売りも続いた。
ナスダック総合株価指数は反発した。終値は前日比203.340ポイント高の2万2886.069だった。アルファベットやメタプラットフォームズの上げが目立った。
〔ロンドン株20日 反発〕
20日の英FTSE100種総合株価指数は反発した。終値は前日比59.85ポイント(0.56%)高の1万0686.89と、18日につけた最高値をわずかに上回った。
米連邦最高裁判所が20日、トランプ米政権による相互関税などについて違憲だとする判決を下した。判決が伝わると、関税の影響を受けやすい銘柄に買いが入った。
1月の英小売売上高など20日発表された英経済指標が市場予想を上回り、英景気への懸念が薄れたことも投資家心理を支えた。不動産投資信託(REIT)や消費関連、金融株に買いが優勢だった。一方で石油株が下落。製薬などヘルスケア関連銘柄にも売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、酒造大手ディアジオが3.90%高、高級衣料のバーバリーが3.32%高、産銅大手アントファガスタが3.02%高と大きく買われた。一方、石油大手BPは2.38%安、食品・小売り大手アソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズは1.16%安、包装資材大手モンディは0.92%安となった。
〔ドイツ株20日 反発〕
20日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比217.12ポイント(0.86%)高の2万5260.69で終えた。米連邦最高裁判所が20日、トランプ米大統領が連邦議会の承認なく発動した一連の関税について違憲との判決を下した。関税の影響を受けやすい自動車株のほか、スポーツ用品アディダスに買いが入る場面があった。
20日発表されたドイツとユーロ圏の景気指標が改善を示したことも投資家心理を支えた。業績への期待からフランスに多く上場する高級ブランド株に買いが先行するなど、フランスや英国の株価上昇がドイツ株への買いを誘った面もあった。ソフトウエア大手SAP、機器・システム大手シーメンスや金融株が上げた。他方、医薬・農薬大手バイエル、半導体大手インフィニオンテクノロジーズが下げた。
DAXでは、高級車メーカーのポルシェが2.34%高、スポーツ用品大手アディダスが2.22%高、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが2.17%高と相場をけん引。半面、製薬大手バイエルは4.16%安、通販大手ザランドは1.62%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは1.39%安と売られた。
フランスの株価指数CAC40は反発し、終値は前日比1.38%高の8515.49と最高値を2日ぶりに更新した。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど高級ブランド株への買いが目立った。
ダウンジャケットで有名なモンクレール(イタリア)の2025年10〜12月期売上高が市場予想を上回ったことをきっかけに、LVMHやエルメス・インターナショナルなど他の高級ブランドにも買いが先行した。その後、トランプ関税を巡る米最高裁の判決を受け、輸出増の思惑が出ると高級ブランド株に買いが増えた。一方で仏トタルエナジーズ、仏食品大手ダノンが下げた。
