25日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比173ドル96セント(0.37%)安の4万5947ドル32セントで終えた。25日発表の米経済指標は景気の底堅さを示した。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急ぐ必要はないとの観測から、株式に売りが優勢となった。
朝方発表された4~6月期の実質GDP(国内総生産)確定値は、季節調整済み年率換算で前期比3.8%増と、改定値(3.3%増)から大幅に上方修正された。トランプ米政権が高関税政策を導入したにもかかわらず、個人消費は堅調。労働省が公表した新規失業保険の申請件数は2週連続で改善し、雇用情勢が想定ほど軟化していないことを示唆する内容だった。
市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が来月の金融政策会合で追加利下げに踏み切るとの期待感が若干薄れ、リスク回避の売りが先行した。
翌26日に8月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控えているほか、2025会計年度(24年10月~25年9月)末を迎え、つなぎ予算が成立せずに米政府機関が一部閉鎖に追い込まれるリスクが高まる中、様子見ムードも漂った。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は25日、インフレが収まるのか、持続的になるのかを見極める前に「前倒しで過度な利下げに動くのは(判断ミスとなる)リスクがある」との見方を示したと伝わった。FRBが積極的に利下げするとの観測が後退するなか、米債券市場では長期金利が上昇。株式の相対的な割高感が意識されやすくなったことも、株売りにつながった。
ここ数日間は人工知能(AI)関連銘柄に売りが目立つことも投資家心理の重荷になった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、オラクルが5%あまり下げた。アナリストが投資判断を「売り」で調査を開始し、嫌気した売りが出た。AI関連銘柄に買いが集中していたなか、切り上がった期待ほどは収益が拡大しない可能性や相場の過熱感などが意識され、利益確定売りが出やすかった。
26日にはFRBが重視する米個人消費支出(PCE)物価指数の8月分の発表を控える。今後の経済データを確認したい雰囲気もあった。
ダウ平均の構成銘柄ではセールスフォースやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトといったハイテク株が売られた。アムジェンやナイキ、メルクも安い。半面、IBMは5%ほど上昇した。HSBCとIBMが25日、量子コンピューターを使い債券取引の約定を改善させることができたと発表し、好感された。アップルやシェブロンも上昇した。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比113.157ポイント(0.50%)安の2万2384.698で終えた。テスラやメタプラットフォームズ、アルファベットが下落した。
【シカゴ日本株先物概況】
25日のシカゴ日経平均先物は横ばいだった。12月物は前日終値と同水準の4万5375円で終えた。この日は日経平均株価が連日で最高値を更新した一方で、米株式相場は軟調に推移し、シカゴ市場の日経平均先物には方向感が出にくかった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
45375 ( -85 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
45460 ( 0 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
25日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比36.45ポイント(0.39%)安の9213.98で終えた。25日発表された米経済指標を受け、米景気の底堅さが改めて意識された。このところの株式相場の支えとなっている米国での利下げ期待が薄れ、相場の重荷となった。
医療機器のスミス・アンド・ネフューなどヘルスケア関連の銘柄が下げ、指数を下押しした。英バークレイズといった銀行のほか、住宅関連に売りが優勢だった。
他方、英豪リオティントなど鉱業の一部銘柄に買いが続いた。足元で、供給懸念から銅の先物価格が急上昇していることが背景にある。ロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は25日に一時1トン1万485ドルと、2024年5月以来の高値を更新した。
FTSEの構成銘柄では、医療機器のコンバテックが5.63%安、保険大手フェニックス・グループ・ホールディングスが5.39%安、製薬大手アストラゼネカが2.27%安と下げを主導。一方、資源大手リオティントは3.54%高、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループは1.96%高、賭け屋大手エンテインは1.65%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
25日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落し、前日比131.98ポイント(0.55%)安の2万3534.83で終えた。25日発表された米経済指標をきっかけに米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急ぐ必要がないとの見方が広がり、株式の売りを促した。
個別では、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが3.45%安、同日に欧米メディアが米商務省が医療機器などの輸入について調査を始めたと報じ、関税を巡る不透明感が重荷となった。セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが2.53%安、スポーツ用品大手アディダスが2.41%安と下落。半面、エネルギー大手イーオンは1.43%高、ドイツ取引所は1.40%高、ハノーバー再保険は1.38%高となった。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.40%安で終えた。
