299ドル高 追加利下げ観測が支え

26日のNYダウ工業株30種平均は4日ぶりに反発し、前日比299ドル97セント(0.65%)高の4万6247ドル29セントで終えた。
 
同日朝発表の8月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.7%上昇で、市場予想と一致した。今週は予想よりも上振れする経済指標が相次ぎ、連邦準備制度理事会(FRB)が年内にあと2回利下げを続けられるか懐疑的な見方が出ていたが、PCEを受けて投資家心理が改善。幅広い銘柄が買われた。
ただ、半導体関連などハイテク大手の一部は売りが優勢となり、ナスダックはマイナス圏に沈む場面があった。トランプ米政権が、半導体企業に米国内での生産を促すための計画を検討しているとの報道が重荷となった。人工知能(AI)関連の銘柄もさえなかった。
 
8月のPCE物価指数は前月比で0.3%上昇し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想と同じだった。食品とエネルギーを除くコアは同0.2%上昇と市場予想と一致した。市場では「インフレ圧力の上昇が想定の範囲内で安堵感が広がった」の声が聞かれた。
 
ダウ平均は22日に最高値を更新した後、3日続落していた。米経済の底堅さを示す指標の発表が相次いだほか、米連邦準備理事会(FRB)高官の一部が利下げの継続に消極的とみられる発言をしたことが重荷となっていた。物価上昇が市場の想定通りとなったことで、FRBの利下げ継続への期待が改めて高まり、株買いにつながった。
 
トランプ米大統領は25日、自身のSNSで10月1日から一部の外国製医薬品に100%の関税を課すと表明した。米国内に生産拠点を設ける場合には除外する。大型トラックや家具などにも追加関税を発動すると明らかにした。ダウ平均の構成銘柄ではないが、輸入家具を販売するRHに売りが出た。
 
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは26日、米国内製造の半導体の数量と海外製の半導体の数量を1対1の比率で維持できない企業に対し、関税を支払うよう命じる方針を検討していると報じた。米国内での半導体製造を促す狙いがある。
 
米政権による関税政策への警戒から、株売りが出る場面があった。ただ、「関税によるインフレ圧力の影響はあまり出ていないほか、トランプ氏の今までの対応を見れば、引き下げの余地がありそうだ」との指摘があり、相場全体への影響は限られた。
 
ダウ平均の構成銘柄ではボーイングが買われた。米連邦航空局(FAA)が主力小型機「737MAX」の出荷時の制限を緩和すると伝わった。ターキッシュエアラインズが26日にボーイング機を最大225機購入することで合意したことも材料視された。IBMやセールスフォース、ビザも上昇した。半面、シスコシステムズやコカ・コーラは下げた。
 
ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反発した。前日比99.370ポイント(0.44%)高の2万2484.068(速報値)で終えた。インテルやテスラに買いが入った。トラックメーカーのパッカーは5.1%高で終えた。トランプ氏が大型トラックに関税を課すと表明した後で、大半のトラック製造を米国で行っている同社が相対的に有利になるとの見方が広がった。
 
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

26日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比245円安の4万5130円で終えた。
この日は東京株式市場で日経平均株価が下落し、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。

 
シカゴ日経225先物 (円建て)
45130 ( +80 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
45215 ( +165 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

 
26日の英FTSE100種総合株価指数は反発し、前日比70.85ポイント(0.76%)高の9284.83で終えた。26日の米景気指標の発表後も米国で利下げが続くとの期待が保たれ、主力株を中心に買いが入った。
 
26日の米株式相場が上昇して始まると安心感が広がり、FTSE100種指数は一段高となった。英ロイズ・バンキング・グループなど足元で上昇の勢いが鈍っていた銀行株に買いが入った。「インターコンチネンタル」などのホテルを展開する英IHGホテルズ&リゾーツの上昇が目立った。一部金融機関が投資判断を引き上げたと伝わった。
 
英アストラゼネカや英GSKといった製薬株も上げた。トランプ米大統領が25日、米国外から輸入する医薬品に10月1日以降、100%の追加関税をかけると表明した。ただし同氏は、米国内で工場建設に着工すれば新たな関税を免除する方針にも言及した。アストラゼネカとGSKはともに米国への投資方針を示していることから、26日の株価への悪影響は免れた。
 
FTSEの構成銘柄では、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが3.99%高、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズが3.27%高、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループが3.16%高と相場をけん引。一方、産業・エネルギー会社のメトレン・エナジー・アンド・メタルズは2.09%安、資源大手リオティントは1.72%安、飲料大手コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズは1.19%安と売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

26日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比204.64ポイント(0.86%)高の2万3739.47で終えた。米国で利下げが続くとの観測から26日の米株式相場が上昇して始まり、投資家心理を支えた。
 
このところ株価水準が切り下がっていた独アリアンツをはじめ保険株が買われたほかドイツ銀行も上げるなど、金融への買いがDAXを押し上げた。独メルセデス・ベンツグループなど自動車関連に買いが優勢だったほか、公益が上昇した。
 
個別では、ミュンヘン再保険が3.93%高、保険大手アリアンツが2.52%高、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが2.41%高と上昇。半面、通販大手ザランドは2.49%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは1.95%安、トランプ米大統領が25日、10月1日から輸入する大型トラックに追加関税を課す考えを示したことが響いた、商用車大手ダイムラー・トラックは1.75%安で取引を終えた。

■フランス・パリ株価指数

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は3日ぶりに反発し、前日比0.96%高で終えた。

 

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