30日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比20円27銭安の4万5023円48銭だった。
きょう前場は、朝方は売り買い交錯でスタートしたものの、その後は総じて売りに押される地合いとなった。前日の米株高は追い風ながら、中間期末を迎え機関投資家によるポジション調整の動きが表面化し上値を重くしている。ソフトバンクグループ(SBG)やアドバンテストに売り圧力が強まり、日経平均株価は一時300円あまり下落する場面があったが、下値では押し目買いの動きが観測され、前場取引後半は下げ渋る展開となった。結局前引けは20円安にとどまっている。個別では値下がり銘柄数が1000を上回り、全体の64%を占めるなど利食い急ぎの動きも観測される。
日経平均が最高値圏で推移するなか、国内の機関投資家が10月の下期入りと同時に実施するとみられる含み益のある株式を売却して利益を出す「期初の益出し」の規模が例年よりも大きくなるとの見方も重荷となった。評価益を実現益にすることで手元の投資資金を増やし、下期に新たな投資戦略に基づいて運用しやすくなるとされる。
米連邦議会が政府運営を続けるための「つなぎ予算案」が成立しておらず、30日までに可決できなければ米政府機関の一部が閉鎖されるとの警戒感が強いことも投資家心理を冷やした。政府機関が閉鎖されれば、10月3日に予定されている雇用統計など経済指標の発表が延期される。経済指標の発表の遅れは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の判断に響く可能性がある。
市場では「今年は夏場に日経平均が最高値を付け、『夏枯れ相場』がなかった。日本株の先高期待を背景にした買いが引き続き入りやすい」との声が聞かれた。
後場の日経平均株価は、下値余地を探る展開となる可能性がある。米国の次期政策金利見通しや為替の動きが重視されよう。また、国内では10月にかけて自民党総裁選を控えており、関連材料の出方も相場の重荷になり得る。先物ベースでは売りが先行する可能性も警戒されるが、売り一巡後には押し目買いも期待されるとの見方も残る。ただし、明確な上昇トレンドを描くには材料待ちの展開が想定されよう。
東証株価指数(TOPIX)は小幅に反発した。前引けは2.83ポイント(0.09%)高の3134.40だった。JPXプライム150指数は反発した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1584億円、売買高は9億1497万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1033。値上がりは525、横ばいは55だった。
業種別では、化学、医薬品、機械、電気機器、精密機器、保険業、その他製品などが相対的に底堅さを示した。一方、鉱業、石油・石炭製品、ゴム製品、輸送用機器、海運業、電気・ガス業などの下落が目立った。
個別では売買代金首位となっているレーザーテックが買い優勢、IHIも物色人気。キオクシアホールディングスが値を飛ばした。ソシオネクストが高く、キーエンスは大幅高。TDKやコナミグループが高い。東京エレクトロン、荏原製作所、富士フイルムが上昇した。富山第一銀行が値上がり率トップに買われ、オリオンビールも活況高となった。
半面、アドバンテスト、ソフトバンクグループが冴えず、古河電気工業も売りに押された。ファーストリテイリング、トヨタやホンダ、川崎汽、商船三井も安い。産油国による増産観測を背景に米原油先物相場が大幅安となり、INPEXや出光興産など原油関連株の下げも目立った。しまむらが大幅安、アステリア、キユーピーなどの下げも目立つ。
