5日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比61ドル90セント安の4万4111ドル74セントで終えた。米政権による関税政策が景気を冷やすとの懸念が根強く、ハイテクを中心に主力株に売りが出た。半面、米連邦準備理事会(FRB)が近く利下げに動くとの観測は米株相場を下支えした。
米サプライ管理協会(ISM)がこの日発表した7月の米サービス業購買担当者景況指数(PMI)は50.1となり、前月から0.7ポイント低下。市場予想(ロイター通信調べ)の51.5を下回った。統計を受けて米景気の悪化に対する警戒感が強まり、相場の重荷となった。
日系証券筋は指標を踏まえ、「米経済がスタグフレーションに陥るリスクも意識された」と述べた。
さらにトランプ大統領は5日、CNBCテレビのインタビューで、医薬品に対する関税を250%まで引き上げる可能性があると説明。また、半導体に対する新たな関税措置についても早ければ来週にも発表する考えを示した。
関税が米国の物価上昇につながり、米経済の大半を占める個人消費が悪化するとの懸念が広がった。
ただ、ダウ平均の下値は堅く上昇する場面もあった。FRBが9月に利下げに動くとの見方が投資家心理を下支えした。ロイター通信によれば、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は4日、米国の労働市場が軟化していることなどを理由に利下げの時期が近づいているとの認識を示した。金融緩和が米経済を下支えするとの見方は主力株への買いを促した。
セールスフォースやマイクロソフト、エヌビディアなどハイテク株の下落が目立った。ビザやマクドナルドも下げた。半面、ユナイテッドヘルス・グループやスリーエム、シェブロンは上昇した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比137.032ポイント安の2万0916.550で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比55円安の4万0530円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したものの、米株式相場が下落したため、シカゴ市場の日経平均先物には売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
40530 ( -120 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
40570 ( -80 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5日の英FTSE100種総合株価指数は続伸した。終値は前日比14.43ポイント(0.15%)高の9142.73と、7月24日以来8営業日ぶりに最高値を更新した。
市場予想を上回る業績を公表した銘柄に買いが入った。7日に結果を発表する英イングランド銀行(中央銀行)の金融政策委員会で、0.25%の利下げが決まるとの期待も投資家心理を支えた。
25年4〜6月期の利益水準が市場予想を上回った石油大手の英BPも上げた。資源株にも買いが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、増益決算と自社株買いを発表した医療機器大手スミス・アンド・ネフューが15.34%と急伸。産金大手フレスニロは6.00%高、
5日に2025年6月期決算を公表した酒造大手ディアジオも4.90%高と売上高や営業利益(特別項目の控除前)が市場予想ほど落ち込まなかったことが好感された。
他方、前日に上昇が目立った一部の銀行株に利益確定の売りが出た情報サービス会社RELXは2.31%安、金融大手ロイズ・バンキング・グループは2.18%安、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループは2.04%安と下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比88.38ポイント(0.37%)高の2万3846.07で終えた。米関税政策を巡る警戒感はやや落ち着き、市場予想を上回る業績を公表した銘柄に買いが入った。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測も、投資家心理を支えた。
個別では、5日発表した2025年4〜6月期決算で営業利益(特殊要因を除く)が市場予想を上回った半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが4.58%高、高級車メーカーのポルシェが2.50%高、商用車大手ダイムラー・トラックが2.32%高と上伸。
半面、コメルツ銀行は5.99%安、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアと化粧品大手バイヤスドルフは共に1.75%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.14%安で終えた。
