3日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反落した。
前週末比649ドル67セント安の4万3191ドル24セントと1月中旬以来の安値で終えた。
メキシコ・カナダへの関税発動は当初の予定から1カ月延期されたが、トランプ大統領は3日の記者会見で「4日に始まる」と言明した。個人消費の鈍化や景気減速懸念から金融や小売りなど幅広い銘柄に売りが膨らみ、ダウの下げ幅は終盤にかけて拡大した。
米国は農産物供給などをメキシコやカナダに依存する中、輸入価格の上昇は避けられず家計は大きな打撃を受ける見通し。市場参加者は先行きの不透明感は強いとする一方、「トランプ氏は株価を気にするため、関税政策に修正が今後かかる可能性がある」(日系証券)との見方を示した。
米国は農産物供給などをメキシコやカナダに依存する中、輸入価格の上昇は避けられず家計は大きな打撃を受ける見通し。市場参加者は先行きの不透明感は強いとする一方、「トランプ氏は株価を気にするため、関税政策に修正が今後かかる可能性がある」(日系証券)との見方を示した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2日、中国の業者が「米国の輸出規制を回避してエヌビディアの最新人工知能(AI)半導体を注文している」と報じた。トランプ米政権が半導体の対中輸出規制を強化するとの警戒感を誘い、エヌビディアは8%あまり下げた。ダウ平均の構成銘柄ではないが同業のブロードコムも売られ、米株相場を押し下げた。
市場では「エヌビディアの下落に影響される銘柄は多く、投資家の不安心理が高まっている」との声が聞かれた。トランプ大統領は、3日午後に4日からメキシコとカナダに25%の関税を課すと語った。対中追加関税は10%から20%に引き上げる。一連の発言を受け、取引終了にかけて株売りが加速し、ダウ平均は一時900ドルあまり下落した。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した2月の製造業景況感指数は50.3だった。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(50.6)を下回り、米経済の先行き不安が一段と広がった。項目別で仕入れ価格が大幅に上昇したことからインフレ圧力の高まりにつながるとの見方もあり、投資家の間で運用リスクを避ける動きが強まった。
ダウ平均の構成銘柄ではキャタピラーやシェブロン、アマゾン・ドット・コムが下げた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズやコカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどディフェンシブ株は買われた。
ナスダック総合株価指数は大幅に反落した。前週末比497.088ポイント(2.63%)安の1万8350.191(速報値)と昨年11月以来の安値で終えた。テスラやアルファベットの下げが目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前週末比280円安の3万7310円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したものの、トランプ米政権による半導体の輸出規制を巡る懸念などで米株式相場が下落したことで投資家心理が悪化し、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37310 ( -550 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37320 ( -540 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
3日の英FTSE100種総合株価指数は5日続伸し、終値は前週末比61.57ポイント(0.69%)高の8871.31と最高値を更新した。ウクライナの安全保障や欧州の防衛力増強へ向け、英国を含めた欧州主要国の国防費が増加するとの観測から英BAEシステムズやロールス・ロイス・ホールディングスといった防衛・航空関連の銘柄が買われ、指数を押し上げた。
資源にも買いが優勢だった。3日までに発表された中国の景気指標を受けて中国経済に対する不安が和らぎ、銅など非鉄金属の先物相場が上昇したことが背景にある。半面、英長期金利の上昇を受けて公益や不動産投資信託(REIT)が下げた。
FTSEの構成銘柄では、航空・防衛大手BAEシステムズは、一部金融機関が目標株価を引き上げたのも支援材料となり14.58%高と急伸。航空機エンジン大手ロールス・ロイスが4.41%高、不動産サイト大手ライトムーブが4.20%高で続いた。一方、流通大手バンズルは8.79%安、水道大手セバーントレントは2.72%安、通信大手BTは2.19%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株価指数(DAX)は上昇した。終値は前週末比595.59ポイント(2.64%)高の2万3147.02と2月18日以来、約2週間ぶりに最高値を更新した。ウクライナ支援などを視野に欧州主要国が国防費増額に動くとの見方を背景に独ラインメタルが前週末比13.7%高で終えるなど、防衛・航空関連の銘柄の上昇が目立った。
欧州の主要国が米国とウクライナの関係修復を目指すとの見方からウクライナ情勢を巡る懸念がやや和らいだのも、投資家心理を支えた。金融や自動車、ハイテク関連に買いが入った。欧州の長期金利が上昇し、不動産のボノビアは下落した。
個別では、防衛大手ラインメタルが13.71%高、航空機大手エアバスが5.88%高、製薬大手バイエルが5.68%高と相場をけん引。半面、不動産大手ボノビアは3.54%安、医療機器のザルトリウスは1.78%安、エネルギー大手イーオンは0.04%安となった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続伸し、前週末比1.08%高で終えた。軍事通信システムやレーダーを製造する仏タレスが前週末比16%高と急伸。欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタルも上昇した。他方、スーパー大手の仏カルフール、電機大手シュナイダー・エレクトリックが下げた。
