4日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前日比670ドル25セント(1.55%)安の4万2520ドル99セントと1月中旬以来の安値で終えた。
トランプ米政権が同日からカナダとメキシコの輸入品に対し関税を発動し、中国には追加関税を引き上げた。対抗措置に伴う貿易戦争や経済への悪影響を懸念した売りが広がった。ダウ平均の下げ幅は800ドルを超える場面があった。
関税によるサプライチェーン(供給網)混乱のほか、米国でのインフレ再燃や景気悪化への不安が台頭。カナダなどが報復措置を発表して先行きへの警戒感が高まり、業績に打撃が見込まれる自動車株や景気に敏感な金融株が売り込まれた。
米半導体エヌビディアなどに安値拾いの買いが入り、午後にかけダウは下げ幅を縮め、ナスダックは一時プラス圏に浮上。ただ、取引終盤には再び売り注文が優勢になった。
米国の関税発動を受け、メキシコのシェインバウム大統領は4日、9日に報復関税や関税以外の対策を発表するつもりだと述べたと伝わった。カナダのトルドー首相は4日に記者会見を開き、米国の対応を非難。米国からの輸入品に対する関税導入を表明するとともに関税以外の対抗措置を示唆した。関税の応酬が世界経済の下押しにつながるとの見方から投資家のリスク回避姿勢が強まった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、小売りのターゲットが3%安で終えた。4日朝発表の2026年1月期通期の売上高見通しが市場予想に届かなかった。消費マインドの冷え込みや関税を巡る不確実性が収益を下押ししており、投資家心理の重荷となった。ダウ平均では、同業のウォルマートが下げた。
S&P500種株価指数は午前に5700台前半まで下落し、目先の下値メドとされる200日移動平均線に接近した。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は昨年12月に付けた最高値からの下落率が10%に達する場面があった。ハイテク株を中心に短期的に売られすぎとの見方から、押し目買いが入った。ダウ平均は下げ幅を100ドルあまりに縮める場面があったが、取引終盤に再び売りの勢いが強まった。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、ボーイングとスリーエムが下げた。ゴールドマン・サックスとアメリカン・エキスプレスも売られた。半面、前日に大幅安となったエヌビディアが上昇した。ユナイテッドヘルス・グループも高かった。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比65.028ポイント(0.35%)安の1万8285.163(速報値)と24年11月4日以来、4カ月ぶりの安値で終えた。テスラが下げた。2月の中国製電気自動車(EV)の販売が大幅に落ち込み、嫌気した売りが出た。メタプラットフォームズも売られた。S&P500種株価指数も続落し、前日比1.22%安い5778.15と、24年11月4日以来の安値となった。
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比355円安の3万6955円で終えた。
NYダウ平均は、トランプ米政権がカナダとメキシコからの輸入品に関税を発動したことで貿易戦争への懸念が高まり、大幅続落した。
トランプ米政権の関税強化による景気懸念から日米で株式相場が下げ、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36955 ( -405 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36965 ( -395 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
4日の英FTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比112.31ポイント(1.26%)安の8759.00で終えた。米政権による関税強化と、関税対象になった国による対抗措置で貿易摩擦が激しさを増せば、世界景気に悪影響が及ぶとの懸念が広がっている。同指数は前日まで5日続伸し、最高値圏を更新していたとあって、投資家がリスク回避姿勢を強めたのをきっかけに利益確定などの売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、建機レンタルのアシュテッド・グループが8.23%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が7.53%安、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストが6.19%安と大幅に下落。一方、品質検査会社インターテックは4.46%高、産金大手フレスニロは3.45%高、水道大手セバーントレントは3.16%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
4日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落し、前日比820.21ポイント(3.54%)安の2万2326.81で終えた。前日比の下落率は2022年3月以来、約3年ぶりの大きさとなった。米政権による関税強化をきっかけに貿易摩擦が激しさを増しかねないと、警戒感が広がった。自動車部品の独コンチネンタルが前日比1割下げるなど、自動車関連に売りが膨らんだ。
DAXは前日に最高値を更新するなど高値圏で推移していたため、利益確定の売りも出た。
DAXでは、自動車部品大手コンチネンタルが11.64%安と急落し、ヘルスケア大手フレゼニウス・メディカル・ケアが9.29%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーも7.86%安と下げた。半面、エネルギー大手イーオンは1.26%高、不動産大手ボノビアは1.25%高、化粧品大手バイヤスドルフは1.11%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反落し、前日比1.85%安で終えた。欧州ステランティスなど自動車が下げたほか、半導体関連も売られた。4日公表した2024年12月通期決算で、売上高が市場予想を上回った軍事通信システムなどを手掛ける仏タレスが上げた。食品のダノンも上昇した。