27日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前週末比232円22銭安の3万9699円76銭だった。
きょう前場は、朝方こそ日経平均が高く始まったものの、買い一巡後は売り圧力に押されマイナス圏に沈んだ。これまで相場の牽引役を担ってきた半導体製造装置の主力銘柄や電線株が売られ、全体を押し下げた。
前週末の米半導体株の下落を背景に、東京株式市場ではアドテストや東エレク、ディスコなど半導体関連株が売られ、相場を下押しした。日銀の金融政策決定会合を前週末に終えたあく抜け感から日経平均は朝方に上昇していたが、勢いは続かなかった。
結局230円あまりの下げで前場の安値圏で着地している。ただ、中小型株には強い動きを示す銘柄が多い。値上がり銘柄数がプライム市場の8割以上を占めており、銀行株なども買われTOPIXは終始プラス圏で推移した。
半導体関連株のほか、人工知能(AI)データセンター向けの電線需要が拡大するとの思惑から買われていたフジクラなどの電線株が売られた。中国発のAI企業「ディープシーク」が開発した高性能AIの誕生で米国優位が揺らぐとの警戒も広がり、主要なハイテク株で構成する米ナスダック100指数の先物が日本時間27日午前の取引で下落。国内のAI関連とされる銘柄の売りに波及した。
トランプ米大統領は26日、コロンビアが米政府による不法移民の送還を拒否したことへの制裁として25%の関税を課す考えを示した。
市場では「『関税』のニュースに反応して短期目線の投資家が日本株に売りを出した可能性がある」)との指摘があった。
後場の日経平均株価は、軟調な展開が続きそうだ。日銀の追加利上げを受けて銀行などの金融株は堅調に推移しそうだが、中国製AI(人工知能)の高度化に対する警戒から国内の値がさのAI・半導体関連銘柄は冴えない値動きとなりそうだ。日銀の植田総裁は今後の利上げについても毎回の会合で判断していく考えを示しており、国内の長期金利が上昇基調にあるなか、リスク資産として意識される株式には依然として相対的な割高感を意識した売りが出やすい状況となっている可能性があるだろう。
また、トランプ大統領による関税政策に対する過度な警戒感は和らいでいるが、いきなり関税に関するネガティブなニュースが伝わる可能性もあるため楽観視はできない。そのほか、28-29日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、現状の政策金利維持が発表される公算が大きいが、パウエル議長の記者会見でのコメントには注目しておきたい。
前引け時点の東証プライムの値下がり銘柄数は261にとどまり、値上がりは1341、横ばいは39だった。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは13.62ポイント(0.50%)高の2764.66だった。JPXプライム150指数も反発した。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3387億円、売買高は9億6433万株だった。
業種別では、非鉄金属、電気機器が下落した一方で、ゴム製品、陸運業、銀行業などが上昇した。
個別では、売買代金トップのディスコが下値模索の動きとなったほか、アドバンテストが大幅安となった。ソフトバンクグループの下げも目立つ。フジクラや古河電気工業など電線株も安い。リクルートHD、DeNA、任天堂、日立などが下落した。武蔵精密工業が値下がり率トップに売り込まれ、芝浦メカトロニクス、SHIFT、日東紡績なども大きく水準を切り下げた。
一方、三菱UFJフィナンシャル・グループが買われ過去最高値を更新したほか、三井住友などの金融株、第一生命HDやT&Dなどの保険株も高い。商船三井や郵船などの海運株も堅調に推移。フジ・メディア・ホールディングスも買いが優勢だった。
また、ファーストリテイリング、ソニーG、三菱重工業、IHI、KDDI、ホンダなどが上昇した。また、第3四半期好決算を好感する動きとなった岩井コスモホールディングスが急騰、日置電機、SBIアルヒ、ジェイテックコーポレーションなどが値上がり率上位となった。
