27日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前週末比289ドル33セント高の4万4713ドル58セントで終えた。
中国の人工知能(AI)開発企業DeepSeek(ディープシーク)が手掛ける生成AIサービスの人気急上昇を受け、米競合が想定していたよりも低コストの半導体や少ないデータでAIを開発、運用できるのではないかとの観測が高まった。AI半導体をけん引するエヌビディアは17.0%安、AI事業に多額を投じているマイクロソフトなども大幅に下げた。
AI銘柄から資金が逃げ、ヘルスケアや一般消費財、生活必需品といったディフェンシブ銘柄に買いが入り、こうした業種の比重が高いダウ平均は値上がりした。逃避資金は債券買いにも向かい、米長期金利が低下。ドルは主要通貨に対し下落した。
これまでに米オープンAIの「GPT-4o」に相当するモデルを発表しているほか、20日には新モデルを発表した。27日にはアップルのアプリストアの無料アプリランキングで2位のチャットGPTを抑えて首位に立った。
ディープシークの台頭による競争激化が意識され、半導体関連やハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)に売りが膨らんだ。
ただ、市場では「中国のAIを巡っては不確実な点が多く、これまで大きく上昇してきた関連銘柄への調整の売りが出たにすぎない」との声も聞かれた。
ディフェンシブ株や消費関連株の一角に買いが入り、相場の支えとなった。「トランプ米大統領が26日に南米コロンビアに対する関税引き上げの方針を撤回したことが追い風となった」との見方もあった。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や大手ハイテク企業による決算発表があり、内容を見極めたい雰囲気もあった。
個別では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やトラベラーズ、アムジェンが高かった。低コストモデルがAI事業に貢献するとの見方から、アップルも買われた。セールスフォースやウォルマート、ナイキにも買いが集まった。
ナスダック総合株価指数は大幅に続落した。前週末比612.467ポイント(3.06%)安の1万9341.834で終えた。一日の下落率は24年12月中旬以来の大きさとなった。ブロードコムが17.3%安と下げが目立った。アプライドマテリアルズやマイクロン・テクノロジー、パランティア・テクノロジーズも大幅安となった。
【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前営業日比1420円安の3万9060円で終えた。中国企業が開発した生成AI(人工知能)への警戒感から日米でハイテク株が下落しており、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)39060 ( -420 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)39125 ( -355 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
27日の英FTSE100種総合株価指数は横ばい圏となり、前週末比1.36ポイント(0.01%)高の8503.71で終えた。前週末の米国株安や、27日の取引での米株価指数先物の下落が投資家心理を冷やした。29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて様子見の雰囲気もあり、相場の下値は堅かった。
FTSEの構成銘柄では、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが4.72%高、医療機器のコンバテックが3.76%高、製薬大手GSKが3.35%高と相場をけん引。一方、豪資源大手BHPグループが英アングロ・アメリカンへの買収の再提案に消極的だと報じたのを材料に、鉱業大手アングロ・アメリカンは6.21%安、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは5.15%安、資源大手グレンコアは3.70%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
27日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前週末比112.75ポイント(0.52%)安の2万1282.18で終えた。前週末の米半導体株安に続き、27日の取引でハイテク株で構成する米ナスダック100指数の先物が下げ幅を広げる場面があり、投資家が運用リスク回避の姿勢を強めた。半導体の独インフィニオンテクノロジーズなどハイテク関連の銘柄が下げた。
DAXはこのところ最高値圏で推移していたため、利益確定の売りも出やすかった。27日の米株式市場でダウ工業株30種平均など主要な株価指数が下げ幅を縮めると、DAXも下げ渋った。
個別では、AIインフラ向け電力製品を手掛けるエネルギー大手シーメンス・エナジーが19.95%安と急落し、総合電機大手シーメンスが3.38%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが1.88%安で続いた。半面、通販大手ザランドは3.67%高、化学品商社ブレンタークは3.45%高、香料大手シムライズも3.09%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は10営業日ぶりに反落し、前週末比0.26%安で終えた。人工知能(AI)の関連銘柄としての側面があり、1月中ごろ以降に急速に株価水準が切り上がっていた電機大手の仏シュナイダー・エレクトリック株に売りが膨らんだ。仏エンジーなど電力関連の一角が下げた。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンをはじめ消費関連の銘柄は買われた。
