27日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比225円65銭安の3万9340円15銭だった。
前日の米国株市場で半導体関連などを中心に売られ、ナスダック総合株価指数が急落したことを受けて、主力株にリスク回避の動きが続いた。ただ、日経平均はアドテストや東エレクなどの半導体関連に売りが膨らみ、一時600円以上の下落をみせたが、三菱UFJなどの銀行や三井不といった不動産に加え、任天堂やソニーGなど主力株の一角に買いが集まり、東証株価指数(TOPIX)は上昇した。一時、3万9000円を割り込んだ日経平均もTOPIXの上昇を受け、下げ幅を縮小する展開だった。
値上がり銘柄数は全体の7割以上を占めるという状況で、ハイテク株が一極集中的に売られたことを反映している。
中国の人工知能(AI)関連企業であるDeepSeek(ディープシーク)が開発した低コストで高性能な生成AIで米企業の優位性が揺らぐとの警戒から、27日の米株式市場では半導体大手エヌビディアなどが急落。トランプ米大統領は27日、外国製半導体チップなどに近く関税を適用する方針を明らかにしたと伝わったことも逆風となり、午前の東京市場ではアドテストは一時10%あまり下落し、1カ月半ぶりの安値を付けた。AIデータセンター向けの電線需要が拡大するとの思惑から買われていたフジクラは7%安、古河電は7%安となった。
一方、割安株に位置づけられる銘柄には前日に引き続き買いが向かった。三菱UFJは連日で上場来高値を更新し、みずほFGと三井住友FGは年初来高値を付けた。東建物や住友不などの不動産株への買いも目立った。朝方は売られたトヨタなどの自動車株の一角も上昇に転じた。市場では「半導体関連や電線株を売って銀行などの割安(バリュー)株に資金を移す動きがみられる」との指摘があった。
後場の東京株式市場は、弱い電線株と半導体株、防衛関連株が下げ幅を縮小できるかが注目されよう。トランプ大統領が、DeepSeekに対して前向きな発言を行ったこともあり、市場は落着きを取り戻す可能性はある。値がさ半導体株が下げ渋る展開となれば、後場の日経平均は切り返すかもしれない。
東証プライムの値下がり銘柄数は416にとどまり、値上がりは全体の7割に当たる1185、横ばいは39だった。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは12.43ポイント(0.45%)高の2770.50だった。JPXプライム150指数は反発し、3.80ポイント(0.31%)高の1225.18で前場を終えた。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆7917億円、売買高は10億5866万株だった。
業種別では、非鉄金属、ガラス・土石、電気・ガス、石油・石炭、電気機器などが下落した一方、その他製品、不動産、銀行、空運、陸運などが上昇した。
個別では、朝方にトランプ大統領が「防衛システムは全て米国製になるだろう」と発言したことも影響し、三菱重工業、川崎重工業、IHI、日本製鋼所など防衛関連が大幅安となったほか、ディスコ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソシオネクストなど半導体製造装置関連が安くまた、フジクラ、古河電工、住友電工など電線株も弱い。ソフトバンクグループ(SBG)も下値を模索する展開。このほか、NTTデータ、富士電機、日立などが売られた。
一方、決算を材料に日立建機が買われたほか、証券会社によるポジティブなレポートなどが材料視されて三井不動産、住友不動産が上昇。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクが高く、オリエンタルランド、ディー・エヌ・エー、任天堂などエンタメ系もしっかり。このほか、京成電鉄、ニトリホールディングス、小田急電鉄、ZOZOなどが買われた。LITALICOはストップ高に買われた。
