続伸136ドル高、ナスダックは急反発

28日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比136ドル77セント高の4万4850ドル35セントと、過去最高値(4万5024ドル)を付けた2024年12月4日以来の高値で終えた。

中国の人工知能(AI)新興企業の台頭が米国勢の優位性を脅かすとの観測が浮上し、前日に急落したエヌビディアは8.9%高と、相場全体をけん引した。米国のAI市場に対する「冷静な見方」(市場参加者)が広がり、大きく買い戻された。AI事業に注力するマイクロソフトも前日に値を下げた反動から買われ、相場を支えた。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が29日まで開く金融政策会合の内容を見極めたいとの思惑から様子見ムードが漂ったため、ダウは売り買いが交錯する場面もあった。

エヌビディアは9%近く上昇した。中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)が低コストで高性能のAIを開発し、IT(情報技術)企業のAI投資が縮小するとの見方から前日に17%下げたが、ひとまず見直し買いが入った。マイクロソフトも反発した。開発コストが下がることでAIの普及による恩恵を受けるとの見方からアップルやセールスフォースへの買いも続いた。

29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が予定されており、マイクロソフトやメタプラットフォームズ、テスラなどのハイテク大手も四半期決算を発表する。業績発表を控える銘柄や前日に下げが目立ったハイテク株などには買いも入った。

半面、トランプ政権の関税政策への不透明感が株式相場の上値を抑える場面があった。トランプ大統領が27日に半導体や医薬品、鉄鋼製品などへの関税を引き上げると表明し、輸入品に対する一律関税については2.5%よりも「大幅に高く」設定したいとの考えを示した。関税引き上げによる物価上昇や消費減退、他国との貿易摩擦による悪影響などが警戒された。

ハイテク以外のダウ平均の構成銘柄では28日に四半期決算を発表したボーイングが上げた。一方、ハネウェル・インターナショナルやコカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが安い。

ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比391.752ポイント(2.02%)高の1万9733.586で終えた。メタプラットフォームズやサイバーセキュリティーのクラウドストライク・ホールディングスが上場来高値を更新した。前日急落した半導体のブロードコムも反発した。

 


【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比350円高の3万9410円で終えた。この日はハイテク株がけん引する形で米株式相場が上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。

シカゴ日経225先物 (円建て)39410 ( +340 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)39470 ( +400 )

( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

28日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比30.16ポイント(0.35%)高の8533.87で終えた。同日の米株式市場で主要な株価指数が上げ幅を広げる場面があり、前日の米ハイテク株安で強まった投資家の不安が和らいだ。
ただ、トランプ米政権による関税引き上げへの警戒感はくすぶる。ロンドン市場での銅やアルミニウムの先物相場下落を背景に、資源株には売りが優勢だった。

FTSEの構成銘柄では、信用リスク管理サービス会社エクスペリアンが3.74%高、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストが3.73%高、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが3.71%高と買われた。一方、保険大手ビーズリーは2.46%安、産銅大手アントファガスタは2.21%安、産金大手フレスニロは2.16%安となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

28日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。終値は前日比148.40ポイント(0.69%)高の2万1430.58と3営業日ぶりに最高値を更新した。決算など個別の材料を踏まえた買いが指数を支えた。

個別では、28日公表した2024年12月通期決算で、売上高や調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)などが市場予想を上回った医療機器のザルトリウスが11.47%高と急伸し、27日に公表した24年10〜12月期決算(速報値)の内容が堅調だと受け止められたエネルギー大手シーメンス・エナジーが7.53%高、通信大手ドイツテレコムが3.22%高で続いた。半面、自動車大手BMWは2.76%安、高級車メーカーのポルシェは1.72%安、商用車大手ダイムラー・トラックは1.67%安で終了した。

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.11%安で終えた。電機大手シュナイダー・エレクトリック、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスに売りが膨らんだ。金融が上昇したほかコンサルティング会社の仏キャップジェミニ、3Dソフトウエアの仏ダッソー・システムズが上げた。

 

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