ダウ15ドル高、金利上昇で上値重い

19日のNYダウ工業株30種平均は11営業日ぶりに反発し、前日比15ドル37セント(0.03%)高の4万2342ドル24セントで終えた。
 
18日には米連邦準備制度理事会(FRB)による来年の利下げ想定回数が減ったことが嫌気されて、ダウ平均は1100ドル超下げたが、この日は金融株などが買い戻された。市場関係者は「日本や欧州の株価が18日の米国株ほど大幅に下落しなかったことも、買い安心感につながった」と指摘した。
ただ、米長期金利の上昇を受け、上値は重かった。
019日は資本財や金融を中心に見直し買いが入った。前日のパウエル議長の記者会見は金融緩和に消極的なタカ派と受け止められたが「足元の経済成長やインフレの上振れを踏まえると驚きはなく、ファンダメンタルズ(基礎的条件)が大きく変わったわけではない」との声も聞かれた。
 
ダウ平均は上げ幅が一時460ドルに達したが、取引終了にかけて伸び悩んだ。米長期金利が一時前日比0.07%高い(債券価格は安い)4.59%と約7カ月ぶりの高水準を付けた。19日発表の7〜9月期の米実質国内総生産(GDP)確定値は前期比年率3.1%増と改定値から上方修正され、週間の新規失業保険申請件数は市場予想より少なかった。堅調な経済は「利下げペースの鈍化を正当化し、金利の先高観が株式の相対的な割高感を強める」と受け止められた。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のマイクロン・テクノロジーが16%安となった。18日夕に決算とあわせて発表した収益見通しが市場予想に届かなかった。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコム、ブロードコムといった他の半導体株の一角も売られ、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.5%ほど下げた。半導体銘柄の下落が投資家心理の重荷となる面もあった。

米政府機関の一部閉鎖のリスクが意識され「相場の上値を抑えたとの指摘もあった。米連邦議会の与野党指導部が超党派で17日に合意した「つなぎ予算」の延長法案に対し、トランプ次期米大統領が18日に反対を表明。19日午後には共和党の指導部が閉鎖を回避するための新たな案で合意したが、超党派の賛同を得られるかは不透明と伝わった。現行のつなぎ予算は20日が期限で、政府機関の閉鎖への懸念がくすぶった。

個別銘柄ではボーイングやアメリカン・エキスプレス、スリーエム、JPモルガン・チェースなどが買われた。エヌビディアやアマゾン・ドット・コムも高かった。半面、ホーム・デポやユナイテッドヘルス・グループ、シェブロンは売られた。

ナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比19.925ポイント(0.10%)安の1万9372.768(速報値)で終えた。前日の大幅安を受けて上昇して始まっていたが、取引終了にかけて下げに転じた。半導体関連株の一角が売られたほか、テスラやメタプラットフォームズが下げた。一方、18日夕に米陸軍との提携拡大を発表したビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズは4%近く上昇した。

 
 
 

【シカゴ日本株先物概況】

19日のシカゴ日経平均先物は上昇した。2025年3月物は前日比560円高の3万9020円で終えた。この日はNYダウ工業株30種平均が11営業日ぶりに反発するなど米株式相場が底堅く推移した。日銀が同日まで開いた金融政策決定会合で利上げを見送ったのも支えにシカゴ市場の日経平均先物に買いが優勢となった。
 
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
39020 ( -60 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39120 ( +40 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

19日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比93.79ポイント(1.14%)安の8105.32で終えた。18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や、記者会見でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言内容を受け、米国での利下げペースが鈍化するとの見方が広がった。前日の米国株安と19日のアジアの主要株式相場の下落を受け、投資家心理が悪化した。

英イングランド銀行(中央銀行)が19日昼に金融政策委員会の結果を発表した。内容が、市場の想定より利下げに前向きな「ハト派」だとの受け止めが出ると、株価は下げ幅を縮小する場面があった。

資源や資本財関連、銀行など幅広い業種・銘柄に売りが出て、FTSE100種指数を構成する100銘柄のうち下落した銘柄は90を超えた。

 
FTSEの構成銘柄では、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスが3.76%安、包装資材大手モンディが3.66%安、建機レンタルのアシュテッド・グループが3.41%安と下げを主導した。一方、水道大手セバーントレントは0.94%高、たばこ大手インペリアル・ブランズは0.55%高、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズは0.36%高となった。
 
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

19日のフランクフルト株式市場でドイツ株価指数(DAX)は5日続落し、前日比272.71ポイント(1.34%)安の1万9969.86で終えた。DAXが節目となる2万を下回って終えるのは今月2日以来となる。米連邦準備理事会(FRB)がこの先は利下げを慎重に判断していくとの見方が広がった。前日の米国株安に続き、19日のアジアの主要株式相場が下落し、投資家心理が弱気に傾いた。

個別では、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが5.39%安、不動産大手ボノビアが2.96%安、総合電機大手シーメンスが2.71%安と売られた半面、防衛大手ラインメタルは1.14%高、素材化学大手コベストロは0.49%高、電力大手RWEは0.25%高で取引を終えた。

■フランス・パリ株価指数

フランスでは株価指数CAC40が3日ぶりに反落し、前日比1.22%安で終えた。今週に入って株価水準を急速に切り上げていた仏メディア大手ビベンディに売りが膨らんだ。スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクス、電機大手シュナイダー・エレクトリックが下げた。コンサルティング会社の仏キャップジェミニ、電子機器大手タレスが上昇した。

 

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