12日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比382ドル15セント(0.86%)安の4万3910ドル98セントで終えた。
トランプ次期米大統領による規制緩和への期待を背景に相場をけん引してきた金融大手ゴールドマン・サックスなどが売られた。長期金利の上昇も相場を圧迫し、ダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
トランプ氏を支援する米実業家イーロン・マスク氏率いる電気自動車(EV)大手テスラは6.2%安。同株もナスダックを押し上げてきたが、高値警戒感から売りが先行した。翌13日に10月の米消費者物価指数(CPI)発表を控えて様子見ムードも漂う中、投資家が重視するS&P500種株価指数は米大統領選後、終値ベースで初めて下落して取引を終えた。
トランプ氏の勝利とともに連邦議会選で共和党が上院の多数派議席を獲得し、下院でも共和党が過半数を占める可能性が高まっている。大統領と上下両院すべてを共和党が制する「トリプルレッド」となれば、トランプ氏の掲げる政策が実現しやすくなる。規制緩和や現行の所得税減税の恒久化、法人税減税などへの期待は高い。一方、移民政策の強化や関税引き上げなどの米経済への影響を懸念する声もあった。
米債券市場で長期金利が前週末の4.30%から4.4%台に上昇(債券価格は下落)した。足元の米景気の底堅さに加え、次期トランプ政権の政策がインフレの再加速や財政赤字の拡大につながる可能性が意識されている。金利上昇で株式の相対的な割高感が強まることへの懸念も投資家心理の重荷だった。
ダウ平均ではアムジェンやボーイング、メルクなどが売られた。12日に四半期決算を発表したホーム・デポも安い。一方、アクティビスト(物言う株主)による株式取得が明らかになったハネウェル・インターナショナルが高い。エヌビディアやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コムも上げた。
ナスダック指数は6営業日ぶりに反落した。前日比17.362ポイント(0.08%)安の1万9281.401で終えた。ブロードコムやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが安い。一方、ネットフリックスが上昇した。
NYダウ 43910.98 ( -382.15 )
S&P500 5983.99 ( -17.36 )
NASDAQ 19281.40 ( -17.36 )
米10年債利回り 4.428 ( +0.122 )
NY(WTI)原油 68.12 ( +0.08 )
NY金 2606.3 ( -11.4 )
VIX指数 14.71 ( -0.26 )
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比375円安の3万9260円で終えた。
NYダウ平均は、史上最高値を連日更新した反動から利食い売りが優勢となり、3営業日ぶりに反落した。
この日は米主要株価指数が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが広がった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39260 ( -150 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39300 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
12日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比99.42ポイント(1.22%)安の8025.77と8月上旬以来、約3カ月ぶりの安値で終えた。米国の次期政権下で米中関係が悪化しかねないとの懸念などを背景に12日の中国・上海や香港の株式相場が下げ、投資家心理を冷やした。
銅やアルミニウムといった非鉄金属の先物や貴金属の相場が下落しスイスのグレンコア、英アングロ・アメリカンといった資源株の下げにつながった。エネルギーや銀行を含め、幅広い業種で売りが優勢となった。
FTSEの構成銘柄では、12日公表した2024年4〜9月期決算で売上高が市場予想を下回った通信大手ボーダフォンが8.19%安、産金大手フレスニロが7.84%安、住宅大手ビストリー・グループが5.56%安と下げを主導した。
一方、通期業績予想を上方修正した医療機器のコンバテックは22.07%高と急伸したほか、複合企業DCCも14.18%高と大きく買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
12日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比414.96ポイント(2.13%)安の1万9033.64と10月上旬以来の安値で終えた。米国の次期政権の顔ぶれに市場参加者の関心が向かうなかで12日の中国・上海や香港などの株式相場が下落し、投資家心理が悪化した。
12日の米株式市場で主要な株価指数が下げ幅を広げると、DAXも取引終了にかけて一段と下落した。
個別では、2024年12月期通期の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しを下方修正した製薬大手バイエルが14.50%安、化学品商社ブレンタークが8.16%安、化学大手BASFが4.28%安。半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは3.66%高、防衛大手ラインメタルは1.59%高、医療機器のザルトリウスは0.17%高で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比2.69%安の7226.98と8月上旬以来、約3カ月ぶりの安値で終えた。幅広い業種・銘柄に売りが広がり、同指数を構成する40銘柄のうち半導体のSTマイクロエレクトロニクス(スイス)を除く39銘柄が下落した。
