3日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比184ドル93セント(0.43%)安の4万2011ドル59セントで終えた。中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が投資家心理の重荷となった。4日には9月の米雇用統計の発表を控えていることもあり、主力株に持ち高調整の売りが出やすかった。
大規模なミサイル攻撃を受けたイスラエルは、近くイランに報復するとみられ、石油施設や核施設が標的になる可能性が報じられている。産油国からの石油供給に悪影響が生じるとの懸念が高まり、足元の原油先物相場は上昇基調が続く。インフレ再燃リスクが意識され、米国の利下げペースが鈍るとの見方が広がり、金融株など幅広い銘柄が売られた。
1日から始まった米東海岸での港湾労働者によるストライキも相場の重荷となった。食品や自動車などのサプライチェーン(供給網)の混乱による投資家心理の冷え込みを受け、ダウはマイナス圏に沈んだ。
ダウ平均は9月30日に最高値を付けており、高値警戒感も意識された。米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースを見極める上で重要な9月の米雇用統計の発表を4日に控えて売りが出やすかった。
ただ、米株相場の下値は堅く、ダウ平均は下げ幅を70ドルほどに縮める場面があった。3日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の非製造業(サービス業)景況感指数が54.9と8月(51.5)から改善し、市場予想(51.8)を上回った。個別項目では「新規受注」が大幅に上向き、市場では「全体的な活動と需要は引き続き堅調だ」との見方があった。米経済の底堅さが改めて意識されたのは相場を下支えした。
メルクやボーイング、アマゾン・ドット・コムが下落した。ナイキやゴールドマン・サックスも下げた。半面、IBMとセールスフォースには買いが入った。
ナスダック総合株価指数は小幅に反落した。前日比6.647ポイント(0.03%)安の1万7918.476で終えた。テスラが下げた。半面、エヌビディアは上昇。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が人工知能(AI)向け半導体の需要が非常に強いとの見方を示し、好感された。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比40円安の3万8625円で終えた。
NYダウ平均は、中東情勢の緊迫化を嫌気した売りに押され、反落した。
米株式相場が下げ、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38625 ( +25 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38810 ( +210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
3日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比8.34ポイント(0.10%)安の8282.52で終えた。英利下げ観測を支えに指数は前日終値を上回って推移する場面があった。だが中東情勢の緊張が投資家心理を冷やし、ドイツなど欧州の他の主要な株式相場が下げ幅を広げるとFTSE100種指数も次第に水準を切り下げた。
中東情勢の悪化で原油供給に悪影響が及びかねないとの警戒感が原油先物相場を押し上げ、エネルギー株に買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、保険大手フェニックス・グループ・ホールディングスが5.76%安、生命科学分野などの専門的商品・サービスを提供するディプロマが5.10%安、金融大手M&Gが2.50%安と大きく売られた。
一方、航空機エンジン大手ロールス・ロイスは2.81%高、流通大手テスコは2.56%高、石油大手シェルは1.71%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株価指数(DAX)は4日続落し、前日比149.34ポイント(0.77%)安の1万9015.41で終えた。中東で緊迫した情勢が続くなか、運用リスクをとりにくくなるとの見方が株式の売りを促した。
個別では、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの持ち株会社ポルシェSEが3.57%安、自動車部品大手コンチネンタルが3.48%安、不動産大手ボノビアが2.92%安。半面、商用車大手ダイムラー・トラックは1.50%高、通販大手ザランドは1.11%高、コメルツ銀行は0.90%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比1.31.%安で終えた。建設大手の仏ブイグ、自動車の欧州ステランティスの下げが目立った。スイスの半導体メーカーであるSTマイクロ・エレクトロニクスや、産業用ガス大手エア・リキードといった素材関連にも売りが出た。石油大手トタルエナジーズには買いが続いた。
