4日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比180円35銭(0.47%)高の3万8732円41銭だった。
前日の米株式市場では、NYダウは184ドル安と反落。中東情勢への警戒感で売りが優勢だった。米国株が下落したものの、日経平均株価は下値に買いが入り底堅くスタートした。3万8600円前後の一進一退が続き、前引けにかけこの日の高値圏に上昇した。今晩は米9月雇用統計が発表されることもあり、様子見姿勢も強まっている。
外国為替市場で円相場が1ドル=146円台と円安・ドル高方向に振れており、株買いを誘った。日銀の早期の利上げ観測が後退していることも日経平均を引き続き押し上げた。もっともイスラエルとイランの衝突など中東情勢の緊迫は重荷となり、日経平均は下げに転じる場面もあった。
日銀の金融政策を巡り、石破茂首相が2日に追加利上げをする環境にないと発言して以降、早期の追加利上げの思惑が急速に後退している。将来的には金融政策の正常化が進むとみられているが、株式市場では「少なくとも年内の利上げは難しいとの見方が強まり、買い安心感につながった」との声が聞かれた。
石破首相は午後に衆参両院で所信表明演説に臨む。経済政策やエネルギー政策では岸田文雄前政権の方針を踏襲する考えを示している。自民党総裁に就任した直後に株価が急落したこともあり、足元では経済・金融政策に関する姿勢の軟化が目立っている。
市場では「金融所得課税などマーケットに影響がある政策には言及しないのではないかとの見方も支えになった」との声があった。
前日の米株式市場では主要3指数がそろって下落した。イランによるミサイル攻撃を受けたイスラエルが近く報復を始めるとの見方が浮上するなど、中東情勢は一段と緊迫している。地政学リスクの高まりから、東京市場でも一方的に上値を追う動きは限られた。
後場の東京株式市場は、買い手の乏しい状況が続きそうで、日経平均も上値の重い展開を想定しておきたい。外国為替市場でドル円が146円台で推移しており、一旦は輸出関連株などの下支え要因となっている。また、大型連休の国慶節に突入した中国だが、連休前には景気刺激策の追い風から中国株が急騰、米国での利下げに伴って投資家心理は改善傾向にあろう。
ただ、中東の情勢が緊迫化して警戒感が広がる中、本日午後には石破首相の所信表明演説が行われる。経済政策やエネルギー政策は岸田前政権の方針を踏襲する考えを示しているが、マーケット関係者も注目しておきたいところ。また、米国では9月米雇用統計が発表されることから、後場の日経平均は積極的に買い進む動きは想定しにくそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは15.21ポイント(0.57%)高の2698.92だった。JPXプライム150指数も続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9375億円、売買高は9億1246万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1269。値下がりは330、横ばいは46だった。
業種別では、鉱業、石油・石炭製品、銀行業などが上昇した一方で、海運業、輸送用機器、倉庫・運輸関連業の3業種のみが下落した。
個別銘柄では、レーザーテックやアドバンテストが高く、三菱重工業やIHIが連日の人気化。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ、みずほなどが買われ、INPEXやENEOSホールディングスが堅調。ファーストリテイリングが上場来高値を更新した。
エムスリー、ソフトバンクG、ソニーG、リクルートHD、任天堂などが大幅高となった。ほか、第1四半期好決算や自社株買いを発表したクスリのアオキが急騰、上半期営業利益は従来予想を上回る着地となったワールドなどが値上がり率上位となった。
一方、米港湾スト終了で海上輸送混乱に伴う運賃上昇の思惑がはく落した川崎船や日本郵船、商船三井などの海運株が軟調に推移。ディスコ、東京エレクトロン、トヨタ自動車、フジクラ、伊藤忠などが下落。米金利低下期待織り込んだとして米系証券では格下げとなった住友林業、6-8月期コンセンサス上振れも目先のピークアウト感強まったキユーピーなどが大幅安となった。ほか、瑞光、レック、ジャパンディスプレイなどが値下がり率上位となった。
