大幅反落、円安一服やアジア株安に押される

 
8日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比471円65銭(1.20%)安の3万8861円09銭だった。
 
きょう前場は前日とは打って変わりリスク回避ムードの強い地合いとなった。前日の米国株市場では米長期金利の上昇を嫌気してNYダウが反落したほか、ナスダック総合株価指数の下げも目立つ状況で、この流れを引き継いだ。外国為替市場では1ドル=147円台半ばまで急速に円高方向に押し戻されており、これが輸出セクターを中心に売りを助長した。中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクが買い手控え要因となっている。電子部品や金融など幅広い銘柄で売りが優勢となった。値下がり銘柄数は全体の83%を占めている。
 
7日の米株式市場では主要3指数が下落した。米経済の底堅さを示す経済統計の発表が相次いでいることから、米長期金利が2カ月ぶりに4%台まで上昇。株式の相対的な割高感を警戒する売りが膨らんだ。中東情勢の悪化に対する警戒感も投資家心理を冷やした。東京株式市場でも朝方から投資家が買い持ち高を減らす動きが優勢となり、日経平均の下げ幅は一時500円に迫った。
 
8日の香港株式相場でハンセン指数が急落すると、日経平均は下げ幅を拡大した。きょうから再開した上海株式市場は大幅高で始まったあと、上げ幅を縮小するなど「中東情勢の悪化懸念がくすぶり、世界的にリスクオフの動きが広がっている」との声が聞かれた。
 
最新型スマートフォンの販売伸び悩みを理由に、アナリストが投資判断を引き下げた米アップルが2%下落したことを受け、東京株式市場でもアップル関連銘柄に位置付けられるTDKや村田製などの電子部品株が売られた。前日まで買われた銀行や保険などの金融株の下げも目立った。半面、中東情勢の緊迫化を受けた原油相場の上昇を受け、ENEOSなど原油関連株は物色された。
 
国慶節明けで注目された上海総合指数は大幅高で寄り付いた後、上げ幅を一気に縮小した。香港ハンセン指数の下げ幅拡大やハイテク株の急落などが影響しているもよう。
東京株式市場でも中国A株(パンダ)、中国H株ブル2倍が急落した一方、IF中国GBA100、IF中国科創板50が急騰するなど荒い値動きとなっている。
為替の円安推移も一服していることで、後場の日経平均はアジア株の動向に振らされる展開となろう。国慶節明けの上海総合指数がマイナス圏に突入する事態となれば、日経平均の下げ幅も拡大しそうだ。
 
 



 
東証株価指数(TOPIX)も反落した。前引けは42.38ポイント(1.55%)安の2697.01だった。JPXプライム150指数も反落し、19.90ポイント(1.61%)安の1212.47で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9806億円、売買高は9億224万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1369。値上がりは256、横ばいは21だった。
 
業種別株価指数(33業種)は証券・商品先物取引業、卸売業、銀行業などの下落率が大きかった。上昇は石油・石炭製品、電気・ガス業、精密機器。
 
個別では、レーザーテック、ディスコ、東京エレクトロンなど半導体製造装置関連の一角が安く、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも売りに押された。前日買われた千葉銀行、コンコルディア、しずおかFGなど金融株が総じて売られた。また、損保会社から査定業務の委託を受ける東京損保鑑定がランサムウェアの攻撃を受けたと発表したことで情報漏洩の警戒感が先行し、SOMPOホールディングス、MS&ADなど損保株もさえない。ソフトバンクグループも軟調。キーエンス、メルカリなども下落した。ネクステージが値下がり率トップに売られ、シュッピンも大幅安。このほか、安川電機、日産自、マツダ、スクリーンHDなどが売られた。
 
半面、アドバンテストは半導体製造装置関連の中では異彩の強さで4連騰、フジクラも物色人気を集めた。自社株買いなどが材料視されて富士通が年初来高値を更新する強い動きとなった。ライフドリンク カンパニー、ミダックホールディングスが大幅高に買われた。TSIホールディングスも値を飛ばした。このほか、コニカミノルタ、セイコーエプソン、ニチレイ、ニコンなどが買われた。

 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次