9日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比241円16銭(0.62%)高の3万9178円70銭だった。
前日の米株式市場でエヌビディア<NVDA>などのハイテク株が買われ、NYダウが上昇したことが好感された。東京株式市場でもアドテストや東エレク、レーザーテクなどの半導体関連株が買われ、日経平均株価の上昇幅は一時500円を超え3万9400円台まで値を上げる場面があった。
為替相場が1ドル=148円台前半へ円安が進んだことも好感された。ただ、買い一巡後は売りに押されやや伸び悩んだ。
8日はこのところ上昇していた米原油先物相場が下落した。原油の値上がりが米国のインフレ圧力を強めるとの懸念がいったん和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)による追加の利下げによって米経済は軟着陸に向かうとの期待も投資家心理を支えた。
政府は9日午前の臨時閣議で、衆議院を解散することを決めた、市場関係者は「政権の安定感や政治変革への期待を背景にした『選挙は買い』のアノマリー(経験則)が今回は通じにくい。政治資金の問題を受けて、自民党が衆院選でどの程度議席を減らすか見極めが必要だ」と指摘。一方で「円高の一服を受けて国内企業の業績の下振れリスクは和らいでおり、衆院選と米大統領選の後はイベント通過のあく抜け感から日本株は再び戻りを試すだろう」とみていた。
本日の大引け後に衆議院が解散し、臨時閣議にて15日公示、27日投開票のスケジュールを正式に決める見込みだ。13時より80分間の党首討論が予定されているが、既に4日の段階で、防災体制の強化や物価高対策などの経済対策の策定を行っていることから、石破首相の発言で株式市場や為替市場が動意付くことはないと考える。
後場の東京株式市場は引き続き中国などアジア市場の動向を注視した展開となろう。
積極的な買いが手控えられていることから、日経平均は3万9000円台を割り込む可能性もありそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は小幅に続落した。前引けは0.22ポイント(0.01%)安の2698.93だった。一方、JPXプライム150指数は反発し、2.11ポイント(0.17%)高の1216.97で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8439億円、売買高は8億819万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は778。値下がりは815、横ばいは52だった。
業種別では、小売業、サービス業、情報・通信業、精密機器、医薬品などが上昇した一方、鉱業、保険業、電気・ガス業、鉄鋼、卸売業などが下落した。
個別銘柄では、レーザーテックやディスコ、東京エレクトロンが高く、アドバンテストは上場来高値を更新した。三菱重工業や川崎重工業が買われ、フジクラが値を上げた。ファーストリテイリングやリクルートホールディングスがしっかり。カナダ同業が買収額を引き上げたと伝わり、セブン&アイが大幅高となった。
半面、トヨタ自動車が安く、三菱UFJフィナンシャル・グループやダイキン工業が値を下げた。三井物や三菱商などの商社株が売られた。サウジアラビアの政府系ファンドの株買い増し期待が薄れ、任天堂やネクソンといったゲーム株も下げた。
