反落57ドル安、米景気の楽観後退

10日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比57ドル88セント(0.13%)安の4万2454ドル12セントで終えた。同日発表の物価指標が市場予想を上回った一方、雇用指標は想定以上に弱かった。景気敏感株の一角などに利益確定や持ち高調整の売りが出た。米景気の底堅さから株高が続くとの期待感は相場を支え、下げ幅は限定的だった。
 
この日発表された米国の失業保険申請件数は前週比3万3000件増の25万8000件で、2週連続で悪化した。市場では、9月末から今週にかけて米南部を襲った二つの大型ハリケーン被害が「雇用に響く」(日系証券)との不安が高まり、幅広い銘柄が売られた。
アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)がこの日掲載したインタビューで、11月の利下げ見送りに「問題はない」と述べた。連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利下げ期待が低下し、ハイテク株などを下押しした。
同日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇と市場予想をやや上回ったが、インフレの鈍化基調が確認され、相場への影響は限られた。原油高を背景に、エネルギー株は買われた。

ダウ平均とS&P500種株価指数は前日に最高値を更新しており、高値警戒感や短期的な過熱感が意識されやすい。米長期金利が一時4.12%とおよそ2カ月半ぶりの水準に上昇し、株式の相対的な割高感につながった。中東を巡る地政学リスクへの警戒が強いなか、米原油先物相場が反発したことも嫌気された。

ダウ平均は一時200ドルあまり下げたが、引け間際に下げ幅を縮小した。10日の指標を受けても市場の大方の参加者はFRBが11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%利下げするとの予想を変えなかった。利下げが続き、米経済を支えるとの楽観から売りの勢いが鈍った。

ダウ平均ではボーイングの売りが続いた。ホーム・デポやスリーエム、インテルも安い。半面、ユナイテッドヘルス・グループやアマゾン・ドット・コム、セールスフォースが上昇した。

ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比9.568ポイント(0.05%)安の1万8282.049で終えた。10日に人工知能(AI)向け新製品を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の下げが目立った。エヌビディアは上昇した。

 
NYダウ 42454.12 ( -57.88 )
S&P500 5780.05 ( -11.99 )
NASDAQ 18282.04 ( -9.56 )
米10年債利回り 4.064 ( -0.002 )
 
NY(WTI)原油 75.85 ( +2.61 )
NY金 2639.3 ( +13.3 )
VIX指数 20.93 ( +0.07 )

 


【シカゴ日本株先物概況】
 

10日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比295円安の3万9370円で終えた。
NYダウ平均は、米景気に対する楽観が後退し、3日ぶりに反落した。
この日は利益確定を目的とした売りに押されて米株式相場が下落しており、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
39370 ( +60 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39495 ( +185 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

10日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反落し、前日比6.01ポイント(0.07%)安の8237.73で終えた。米国でインフレ圧力が残ることへの警戒感から10日の米株式市場で主要な株価指数が下げて始まると、FTSE100種指数にも下押し圧力がかかった。半面、製薬の英GSKなどの上昇を支えに指数は前日終値を上回る場面もあるなど、明確な方向感に乏しい展開だった。
 
FTSEの構成銘柄では、前日に続き住宅株に売りが膨らみ、テイラー・ウィンペイは4.94%安、ビストリー・グループは4.61%安、バラット・デベロップメンツは2.07%安となった。一方、産金大手フレスニロは3.48%高、保険大手ビーズリーは3.45%高、製薬大手GSKは3.22%高と買われた、同社の手掛ける抗潰瘍薬を巡る米国での訴訟について、大半で和解したと前日公表したのが支援材料となった。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

10日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比44.03ポイント(0.22%)安の1万9210.90で終えた。10日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)を受け、米国でインフレ圧力が残るとの警戒感から米株式市場で主要な株価指数が下げて始まり、ドイツ株の重荷となった。

個別では、防衛大手ラインメタルが3.68%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.61%安、郵便・物流大手ドイツポストが2.34%安と下げを主導。半面、ミュンヘン再保険は2.94%高、ハノーバー再保険は2.91%高、通信大手ドイツテレコムは1.68%高で取引を終えた。

 

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.24%安で終えた。

 

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