29日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比151円42銭(0.39%)安の3万8220円34銭だった。
前日の米株式市場の取引終了後に発表された米半導体大手エヌビディアの5~7月期決算は売上高、純利益ともに予想を上回った。しかし、時間外取引で同社株は下落。市場の期待が高く売りが先行した。このエヌビディア株の時間外取引での下落を受け、東京株式市場は値がさの半導体関連株に売られ下落してスタート。朝方に一時3万8000円を下回り、下げ幅は400円を超える場面があった。ただ、下値には値頃感からの買いが入り、売り一巡後は下げ渋る展開となった。半導体関連株が下落する一方で、保険や海運株などが値を上げた。
エヌビディアが28日に発表した2024年5〜7月期の決算は、売上高と純利益がともにQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想を上回った。8〜10月期の売上高見通しも市場予想の中央値を上回った。「もちろん悪い数字ではないが、大きなサプライズはなかった」との受け止めから、エヌビディア株は日本時間29日早朝の時間外取引で大幅安となり、東エレクやアドテストに売りが波及した。
売り一巡後は下げ渋った。日経平均が3万8000円を下回る水準では値ごろ感を意識した買いが入りやすかった。政策保有株式の縮減を進める保険株が上昇するなど、日本企業の変革に着目した中長期の投資家の買いが入った。東証株価指数(TOPIX)は前場中ごろに一時上昇に転じた。
エヌビディア決算という、今週のメインイベントが不発に終わったことから、商い閑散のまま日経平均は38000円台前半でのもみ合い継続となりそうだ。東京エレクトロンなど半導体株が下げ渋っていることで底堅い地合いも確認できるが、上を試す材料が無くなったことから、週末まで、TOPIX、日経平均は方向感に乏しい展開となるだろう。
前引け時点ではTOPIXは反落し、7.72ポイント(0.29%)安の2684.40で終えた。JPXプライム150指数は反落し、2.28ポイント(0.19%)安の1207.27で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6318億円、売買高は6億5650万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1124。値上がりは455、横ばいは62だった。
業種別では、証券・商品先物取引業、パルプ・紙、非鉄金属、サービス業、陸運業などが下落した一方、保険業、海運業、卸売業、医薬品、電気・ガス業などが上昇した。
個別銘柄では、協業先のスーパー・マイクロ・コンピュータが24年6月期決算の年次報告書提出が遅れると発表したことでニデックが売り優勢となった。レーザーテックやディスコ、東京エレクトロンが安く、トヨタ自動車、楽天グループが値を下げた。ニトリホールディングスも軟調だった。このほか、ZOZO、住友ファーマ、スクリーンHD、ソフトバンクグループ(SBG)、クレディセゾンなどがさえない。
政策保有株放出のニュースが刺激材料となりSOMPOホールディングス、T&Dホールディングス、東京海上など損保株が買われた。このほか、第一三共、伊藤忠、太陽誘電、TOPPANホールディングス、明治ホールディングスなどが上昇。
半面、三菱重工業や川崎重工業が高く、東京海上ホールディングスやMS&ADインシュアランスグループホールディングスがしっかり。日本郵船や商船三井が高く、伊藤忠商事やメルカリ、KDDIが値を上げた。
