市場では、「FRBがゆっくりと段階的な利下げを始めるとの見方が広がった」との声が聞かれた。利下げが経済を支えるという先行きへの楽観的な見方も株式相場を支えた。売り方の買い戻しも入り、大引けにかけて上げ幅を広げた。
ダウ平均は最高値の更新が続いており、主力銘柄の一部には利益確定の売りも出た。9月2日がレーバーデーの祝日で休場となる。3連休を前に持ち高調整の売りも出て、ダウ平均が下落に転じる場面もあった。
個別では、インテルが9.5%高で終えた。経営不振が続く中で半導体の受託生産(ファウンドリー)事業の分離や増産計画の見直しなどのリストラ策を検討していると伝わり、買いを誘った。アマゾン・ドット・コムやIBM、キャタピラーなども上昇した。半面、セールスフォースやアメリカン・エキスプレス、アップルは売られた。
ダウ平均は月間で720ドル上昇した。上昇は4カ月連続。前半には7月の雇用統計が市場予想を下回る内容だったことなどから、米景気が市場の想定以上に冷え込んでいるとの懸念が台頭。リスク回避の売りが膨らみ、5日に3万8703ドルと6月中旬以来の安値を付けた。その後はインフレの沈静化や経済の底堅さを示す指標が相次いだほか、FRBのパウエル議長が9月の利下げ開始を示唆し、株価は急ピッチで回復した。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日比197.193ポイント(1.12%)高の1万7713.624で終えた。前日夕に決算を発表した半導体のマーベル・テクノロジーが大幅高で終えた。テスラやエヌビディアも上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
30日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反落し、前日比3.01ポイント(0.03%)安の8376.63で終えた。指数は前日終値を上回って推移する時間帯が長かったものの、英国時間30日午後に原油先物相場が急速に下げ幅を広げると英シェルなどエネルギー株に売りが増え、指数を押し下げた。
原油先物相場の下落は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」が10月以降、従来の予定通り供給を拡大する方針だと伝わったのがきっかけとなった。英HSBCホールディングスなどの銀行株や公益株の上昇は、指数を下支えした。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
30日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに小幅に反落し、前日比5.65ポイント(0.02%)安の1万8906.92で終えた。アジア市場の株高を支えに買いが先行し、取引時間中に前日付けた最高値を上回る場面があった。だが、原油先物相場の下落を背景に英国やフランスの株式相場が下げると、DAXも小幅安に転じた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反落し、前日比0.13%安で終えた。エネルギー大手の仏トタルエナジーズや、蒸留酒大手のペルノ・リカールの下げが目立った。半面、金融株には買いが優勢だった。
