11日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比32ドル39セント(0.08%)高の3万9753ドル75セントで終えた。
5月下旬以来の高値。
朝方公表された注目の6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇。伸び率は3カ月連続で低下し、市場予想を下回った。CPIを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切るとの観測が台頭。心理的な下支え要因となり、ダウ平均は朝方から総じて強含みに推移した。
ただ、ダウは終日プラス圏を中心とした値動きとなったものの、マイクロソフトなど最近上昇基調のハイテク銘柄に売りが膨らみ、上値も重かった。
6月のCPIは前月比0.1%低下した。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.1%上昇)に反して、2020年5月以来となるマイナスとなった。エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は前月比0.1%と市場予想(0.2%)を下回った。前年同月比では3.3%と、21年4月以来の低水準となった。
市場では「9月までに利下げ開始に必要な十分なデータが整うとの見方を固め、これまでの相場のけん引役から出遅れ銘柄へと循環物色が広がった」との声が聞かれた。高金利環境の長期化が業績の足かせになりやすい住宅関連や中小型株などに資金が向かった半面、これまで買いを集めてきた大型ハイテク株や半導体株は売られやすかった。
ダウ平均の構成銘柄では住宅関連としてホーム・デポが3%近く上昇した。スリーエムやダウといった景気敏感株も買われた。マクドナルドやメルクなどディフェンシブ株の一角も高い。中小型株で構成する株価指数ラッセル2000は3.5%上昇した。
ダウ平均は下げる場面もあった。前日に429ドル高と大きく上昇した後で、主力株の一部に持ち高調整の売りも出やすかった。前日まで上げが目立っていた半導体株やハイテク株は売りに押された。インテルは4%近く下げ、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、アップルも安かった。
ナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに反落した。前日比364.041ポイント(1.95%)安の1万8283.407で終えた。前日まで7日連続で過去最高値を更新し、大型ハイテク株を中心に目先の利益を確定する売りが出やすかった。
エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体関連株が軒並み下げた。メタプラットフォームズやアルファベットも安い。ロボタクシー(自動運転タクシー)の発表の延期報道があったテスラは8%下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比910円安の4万1560円で終えた。
同日、NYダウ平均は、インフレ圧力減退を示す米物価統計が好感される中、続伸した。また、ナスダック総合株価指数が8営業日ぶりに大幅反落し、日経平均先物も売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
41560 ( -810 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
41605 ( -765 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
11日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比29.83ポイント(0.36%)高の8223.34で終えた。水道のセバーン・トレントや電力・ガス供給のナショナル・グリッドなど公益株が買われた。11日発表の5月の英実質国内総生産(GDP)が前月比0.4%増と市場予想以上に伸び、英経済の回復期待が広がったのも相場上昇を支えた。 水道の関連銘柄は、11日に英規制当局が2025年度以降の水道各社による一定程度の値上げを認める方針を示したことが支援材料となった。建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループといった資本財関連、住宅建設や小売り関連の銘柄にも買いが優勢だった。英シェルなどエネルギー株の下げは、指数の上値を抑えた。 中型株で構成するFTSE250種株価指数は堅調に推移した。終値は前日比1.24%高の2万1188.91と2022年4月上旬以来の高値を連日で更新した。 FTSEの構成銘柄では、水道大手セバーントレントが3.74%高、不動産サイト大手ライトムーブが3.51%高、格安航空大手イージージェットが3.26%高と大きく上昇。 半面、通信大手ボーダフォンは1.68%安、情報サービス会社RELXは1.45%安、複合企業DCCは1.41%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
11日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比127.34ポイント(0.69%)高の1万8534.56と6月12日以来、約1カ月ぶりの高値で終えた。11日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)を受けた米利下げ期待の高まりや欧米金利の低下が投資家心理を支えた。
個別では、医療機器のザルトリウスが5.27%高と急伸し、医薬大手メルクが2.90%高、電力大手RWEが2.89%高で続いた。一方、ドイツ銀行は0.69%安、航空機大手エアバスは0.58%安、化粧品大手バイヤスドルフは0.56%安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.71%高だった。
この日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は伸び率が3カ月連続で縮小し、市場予想も下回った。これを受けて市場では米早期利下げ観測が再燃。欧州株にも買いが波及した。