12日午前の日経平均株価は大幅に反落し、午前終値は前日比835円10銭(1.98%)安の4万1388円92銭だった。
前日の米株式市場では、半導体関連などハイテク株が下落しナスダック指数が急落した。これを受け、連日の最高値更新を演じていた日経平均株価も下落に転じた。日経平均株価の下げ幅は一時1000円を超えた。日経平均に寄与度の大きいファストリなど値がさ株が軒並み下げた。為替は1ドル=159円20銭前後と前日夕方に比べ大幅な円高となったことも警戒された。政府・日銀による為替介入が実施されたとの観測も出ている。半導体や電子部品などハイテク株に利益確定売りが膨らみ、銀行や自動車株が安い。
前日の米市場でナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに反落した。エヌビディアやアップルなどに短期的な過熱感を警戒した売りが出た。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も大幅安となった。東京市場でもソフトバンクグループ(SBG)が13営業日ぶりに反落したほか、東エレクやアドテストが大幅に下落した。
外国為替市場で円相場が対ドルで大幅に上昇したことも重荷となった。当局が為替介入を実施したとの観測に加え、日銀が対ユーロでレートチェックを実施したとの報道もあり、円高進行への警戒も輸出関連や海外事業比率の高い銘柄の売りにつながった。前日までの日経平均の上昇は、株価指数オプション7月物の特別清算指数(SQ)に向けて、株価水準を高く維持したい投機筋の思惑的な買いが主導していたとの見方がある。朝方のSQ算出を契機に、投機筋が利益確定売りを出した面もあったようだ。
前引け時点の東証プライムの値上がり銘柄数は1085と、全体の7割近くを占めた。値下がりは508、横ばいは50だった。東証株価指数(TOPIX)の規模別株価指数では大型が1.50%安となったが、小型は0.55%高だった。市場関係者は「きょうは大型株に利益確定売りが出ている半面、このところの株高局面で出遅れていた小型株に物色が向かう展開となっている。指数の下げは目立つが、循環物色的な色合いが強く、相場全体の地合いとしては悪くない」とみていた。
為替は1ドル159円30銭台まで戻している。6月米CPI発表のタイミングで政府・日本銀行による円買い介入が実施されたとの観測だが、じりじりと円は売り圧力が強まりつつある。介入効果は一時的との見方もあることから、積極的なドル買いが入っているとの観測。後場の日経平均は、極端に下げている半導体株を中心に買戻しが入りそうな地合いか。相対的にTOPIXがしっかりしていることで、日本株の底堅さも確認できよう。
TOPIXは反落した。前引けは28.41ポイント(0.97%)安の2900.76だった。JPXプライム150指数は反落し、16.63ポイント(1.27%)安の1288.15で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆9720億円、売買高は9億9482万株だった。
業種別では、保険業、電気機器、銀行業、海運業、石油・石炭製品などが下落した一方、不動産業、建設業、繊維製品、水産・農林業、陸運業などが上昇した。
個別銘柄では、ナスダック大幅安を受けて、ディスコ、東京エレクトロン、レーザーテック、ルネサスエレクトロニクス、ソフトバンクグループが安く、ソニーグループやTDKが値を下げた。決算を発表したファーストリテイリング、7&iHDもきつい下落。トヨタ自動車やホンダが軟調で三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが売られた。金利低下を受けて、T&Dホールディングス、東京海上、第一生命HDも下げた。
一方、金利低下を材料に住友不動産、三井不動産、三菱地所、東急不動産HD、東京建物など不動産株が上昇したほか、積水ハウス、大和ハウスも買われた。このほか、円高メリット銘柄のニトリホールディングス、ニチレイ、ニッスイ、オリエンタルランド、メルカリが上昇した。
