18日午前の日経平均株価は大幅に続落し、前引けは前日比819円83銭(1.99%)安の4万0277円86銭だった。
前日の米国株市場で半導体を中心とするハイテク株が売られナスダック総合株価指数が急落したことを受け、リスク回避ムードの強い地合いとなった。
外国為替市場で急速にドル安・円高が進んだことも輸出セクターを中心に買い手控え感を助長している。バイデン米政権の中国に対する半導体規制強化の動きが警戒され、米株市場同様に半導体関連株への売りが勢いを増している。特に売買代金上位を占めた日経平均構成比率の高い値がさの半導体製造装置関連株の下げが顕著となり、全体を押し下げた。日経平均は朝方に1000円近い下げで4万100円台まで売り込まれる場面があったが、その後はやや下げ渋っている。なお、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数は拮抗している。
米ブルームバーグ通信は17日、「米国が対中半導体規制でさらに厳しいルールを検討していると同盟国に伝えた」と報じた。別の同通信のインタビューでは、11月の米大統領選における当選が有力視されつつあるトランプ前米大統領が「台湾は米国に防衛費を支払うべきだ」と述べたと伝わった。半導体業界への逆風が強まるとの見方から、同日の米株式市場でナスダック総合株価指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅に下落。東京市場でも警戒感から半導体関連株や電子部品株の持ち高を圧縮する動きが強まった。
18日午前の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=155円台前半と、およそ1カ月ぶりの円高水準に上昇した。河野太郎デジタル相による「足元の円安は行き過ぎで、日銀に追加利上げを求めた」との一部報道や、トランプ氏によるドル高是正と円や人民元の弱さを名指しで批判した発言が伝わったためで、輸出企業の利益上積みへの過度な期待の後退から自動車株などの下げも目立った。
ただ、朝安後は短期的な自律反発を見込んだ買いも入り、さらに下値を模索する動きは続かなかった。市場関係者は「6月中旬からの急上昇で日本株は明らかに過熱感が強かったため、米国の対中半導体規制の強化や円高進行は利益確定売りの理由になった。先高観自体は依然強く、心理的節目の4万円近辺では押し目買いが入りやすい」とみていた。
朝方、為替は1ドル155円30銭台まで円高ドル安が進行したが、ランチタイム時点では156円20銭台まで値を戻している。トランプ前大統領が、ドル高円安を批判する発言を行ったことで、長く続いた円安傾向は転換点を迎える可能性があるだろう。為替の乱高下は、大型株を中心に影響を受けることから、後場も為替市場の動向は要注意だ。時間外の米国株指数先物がしっかりなので、日経平均の4万円割れは回避されると想定するが、米国発の波乱を呼ぶニュースには警戒したいところだろう。
東証株価指数(TOPIX)は反落し、前引けは27.16ポイント(0.93%)安の2888.05だった。JPXプライム150指数も反落し、17.42ポイント(1.35%)安の1273.33で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3658億円、売買高は8億7692万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は801。値上がりは784、横ばいは61だった。
業種別では、電気機器、精密機器、機械、輸送用機器、非鉄金属などが下落した一方、水産・農林業、電気・ガス業、食料品、パルプ・紙、銀行業などが上昇した。
個別では、売買代金首位となった東京エレクトロンが続急落、売買代金2位のディスコ、3位のレーザーテックも大きく水準を切り下げた。アドバンテスト、ソフトバンクグループ(SBG)が大幅下落、トヨタ自動車、HOYAも安い。三菱重工業は相対的に底堅さを発揮したもののマイナス圏で着地、川崎重工業も利食われた。恵和、ヨシムラ・フード・ホールディングスなども大幅安。三井E&Sの下げも目立つ。
半面、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクがしっかり、ニトリホールディングスも買いが優勢だった。パルグループホールディングス、アンビスホールディングスが値を飛ばし、ニチレイ、サイゼリヤ、山崎製パンなども逆行高。キッコーマン、アサヒは買われた。
