29日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前週末比748円34銭高の3万8415円75銭だった。上げ幅は一時1000円を超えた。
きょう前場の東京株式市場は前週末の欧米株市場がほぼ全面高に買われたことを受け、主力株をはじめ広範囲にリスクオフの巻き戻しが入る形に。日経平均は急反発に転じ、3万8000円台を大きく回復した。一時は空売り買い戻しを誘発し1000円を超える上昇をみせた。値上がり銘柄数はプライム市場全体の93%を占める全面高商状に。
ただ、今週30~31日の日程で行われる日銀金融政策決定会合とFOMCの結果を前に、高値圏では買いポジションを低める動きが出て、前引け時点ではやや伸び悩んでいる。
米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測の強まりを背景に、前週末26日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。リスク許容度の増した海外短期筋などが株価指数先物に断続的に買いを入れ、先物主導で騰勢を強めた。日経平均は前週末まで8日続落していたとあって、自律反発狙いの買いも入りやすかった。
26日発表の6月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前月比0.1%の上昇となり、市場予想と一致した。前年同月比では2.5%上昇と5月(2.6%)から伸びが鈍化した。同指数はFRBが金融政策運営で重視するインフレ指標。米国のインフレ鈍化の傾向が続き、FRBが9月にも利下げに動くとの見方から米長期金利が低下し、26日の米株式相場は大幅高となった。とくにハイテク株の上昇が目立ち、主な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.95%高で終えた。きょうの東京市場でもこのところ下落基調にあった東エレクなど値がさの半導体関連の一角に買いが入り、日経平均を押し上げた。
日経平均は前週末まで8日続落し、この間に3600円あまり下落した。11日に付けた史上最高値(4万2224円)からの下落率は26日時点で1割強に達していたとあって、自律反発狙いの買いも入りやすかった。国内では企業の2024年4〜6月期の決算発表が相次いでいる。信越化が25年3月期について2期ぶりの最終増益見通しを示すなど、一部のハイテク関連企業の決算内容が良好との受け止めが広がったことも買い安心感につながった。
為替が円高で推移しているが、ドル・インデックスは103.9水準と目立った動きは観測されていないほか、欧州通貨、オセアニア通貨など主要通貨に対して円が総じて上昇していることから、投機筋による円売りポジションの解消が続いていると考える。日本銀行の金融政策決定会合開催が間近に迫っていることもあり、後場の東京株式市場は、為替市場や金利市場を睨んだ展開となろう。3万8000円台は維持しそうな雰囲気だが、様子見姿勢が強まり上げ幅縮小する地合いとなりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは50.74ポイント(1.88%)高の2750.28だった。JPXプライム150指数も反発した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9849億円、売買高は8億3248万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1537と、全体の9割強を占め、全面高の様相だった。値下がりは88、横ばいは20だった。
全業種が上昇したなか、保険業、非鉄金属、化学、不動産業、金属製品の上げが目立った。
個別では断トツの売買代金をこなしているディスコが朝高後急速に伸び悩むもプラス圏を維持、レーザーテック、東京エレクトロンも買い優勢。ソフトバンクグループも値を上げた。第1四半期決算がコンセンサスを上振れたことから信越化学工業が大幅高となったほか、証券会社のポジティブなレポートを受けて、フジクラ、古河電、SOMPOホールディングスが買われた。SUMCO、ルネサスエレクトロニクスなど半導体関連株は総じて高い。東京製鐵が値上がり率トップに買われ、SGホールディングス、マネックスグループも値を飛ばした。
半面、SCREENホールディングスは半導体株高の流れに乗れず、決算発表を受け大きく売り優勢に傾いた。キーエンスも軟調。欧州で認知症薬「レカネマブ」に対する否定的見解が出たことからエーザイが急落し値下がり率トップで年初来安値を更新となったほか、日立建機の下げも目立つ。このほか、キーエンス、パナHD、ソニーグループが下落した。
