7月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比99ドル46セント(0.24%)高の4万0842ドル79セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は31日まで開かれた金融政策会合後の記者会見で、インフレ鈍化などが想定通りに進んだ場合、「利下げは9月会合で検討される可能性がある」と表明。市場ではFRBが利下げに前向きとの受け止めが広がり、ダウの上げ幅は一時450ドルを超えた。
ただ、ダウ、ナスダックともに終盤に勢いが失速。「今後発表の決算内容などを見極めたい」(市場参加者)との思惑などから、利益確定の売りが出た。
FRBはFOMCで政策金利を5.25〜5.5%に据え置いた。パウエル議長は記者会見で、金融政策について「経済は利下げが適切な位置に近づいている」との認識を示した。今後の物価や労働市場の動きによっては「早ければ9月に利下げする可能性がある」とも述べ、投資家心理が強気に傾いた。
パウエル議長の発言について「9月の利下げへの扉を開いたという点で、市場が期待していたことをほぼ実現した」と話す。市場では、FRBが年内に2〜3回の利下げを実施するとの見方が広がりつつある。
半導体株の上昇も米株相場の追い風になった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアが急伸したほか、市場予想を上回る決算を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が買われた。マイクロソフトが人工知能(AI)投資に積極的な姿勢を示したこともあり、半導体株の業績に対する楽観が広がった。
パウエル議長の会見中にダウ平均の上げ幅は450ドルに達し、17日に付けた最高値(4万1198ドル08セント)を小幅に上回る場面があった。高値警戒感が広がり、その後は上げ幅を縮小した。
ダウ平均の構成銘柄ではアマゾン・ドット・コムやボーイング、アップルの上昇が目立った。人員削減の方針が伝わったインテルも買われた。半面、ジョンソン・エンド・ジョンソンやメルクといったディフェンシブ株の一角には売りが出た。
ナスダック総合株価指数は大幅に反発した。前日比451.983ポイント(2.63%)高の1万7599.400で終えた。オランダのASMLホールディングなど半導体製造装置を手掛ける銘柄が買われた。米国の対中輸出規制でオランダなど同盟国を除外する予定だと伝わり、買い安心感が広がった。
【シカゴ日本株先物概況】
7月31日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比550円高の3万8655円で終えた。この日は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で利下げ時期が近づいているのを示唆したことが好感され、米株式相場が上昇。日本の株式相場も大きく上昇しており、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38655 ( -575 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38700 ( -530 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8367.98(+93.57)
FTSE100 8367.98(+93.57)
7月31日のFTSE100種総合株価指数は反発し、前日比93.57ポイント(1.13%)高の8367.98で終えた。終値として5月下旬以来、約2カ月ぶりの高値となる。中東情勢の緊迫を背景に原油の先物相場が堅調に推移し、英シェルなどエネルギー株の買いにつながった。
中型株で構成するFTSE250種株価指数は続伸し、前日比0.78%高の2万1600.71と2022年2月以来、約2年5カ月ぶりの高値で終えた。
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アントファガスタが4.58%高と上昇率トップ。業績見通しを上方修正した金融大手HSBCホールディングスが4.00%高、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが3.49%高と続いた。一方、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(2.95%安)や製薬大手GSK(1.98%安)などが下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18508.65(+97.47)
7月31日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比97.47ポイント(0.52%)高の1万8508.65で終えた。主要企業の決算発表が続くなか、市場予想を上回る業績を公表した銘柄が買われた。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジー(5.90%高)や航空機大手エアバス(4.84%高)、31日までに公表した2024年4〜6月期決算で売上高などが市場予想を上回ったヘルスケア大手フレゼニウス(4.04%高)が買われた半面、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズ(6.71%安)やスポーツ用品大手アディダス(2.24%安)は、買いが優勢となる場面があったものの、午後にかけて売りが膨らみ、下げに転じた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7531.49(+56.55)
フランスCAC40種指数は0.76%高だった。企業の好決算も押し上げ要因となった。欧州株ではハイテク株の上昇が主導した。
