8日午前の日経平均株価は小幅に続伸し、午前終値は前日比58円48銭(0.17%)高の3万5148円10銭だった。
きょう前場の東京株式市場は引き続き荒い値動きが続いている。朝方は広範囲に売り優勢で始まり、日経平均は一時880円あまりの大幅安となったが、その後は下げ渋る展開となり前引け時点では小幅ながらプラス圏に切り返した。追い証発生に伴う投げ売りの一巡で上値が軽くなり、空売り筋の買い戻しなどで浮揚力が働いている。
前日に決算発表したレーザーテクやニトリHDなど好業績銘柄に資金が集まり指数を押し上げた。
値上がり銘柄数が1000を超え値下がり銘柄数を大きく上回った。前場の売買代金は2兆7000億円強とやや減少傾向にあるものの高水準が続いている。
7日の米株式市場でナスダック総合株価指数や主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)などが下落した。8日の東京市場では東エレクやアドテスト、ディスコなどの半導体関連の一角が売られた。
日経平均は5日までの3営業日の大幅な調整などの影響を受け、現在の水準はチャート分析上で節目として意識される25日移動平均線、75日線、200日線のいずれも下回っている。市場関係者は「追い証(追加証拠金)発生に伴う個人の売りは一巡したが、新規の買いは限定的だ。需給面でのしこりが多く、日本株の上値は重そうだ」とみていた。
長期金利の指標となる10年物国債利回りは0.895%と小幅ながら上昇している。5日に0.750%まで低下した後は乱高下となっていたが、ようやく落ち着きを取り戻した。昨日の内田眞一日銀副総裁のハト派発言を受けて、7月31日以降の市場の動揺は沈静化しつつある。日銀はわずか1週間で「タカ派」から「ハト派」に転換したわけだが、「物価の好循環が今後も物価を押し上げるとし、個人消費は堅調な推移」といった見方も今後変わる可能性はある。
日銀への信認が低下したことに伴う外国人投資家による日本株売りの懸念は払しょくできていないことから、先物主導による値幅の大きい荒い値動きはしばらく続きそうだ。後場の東京株式市場も荒い値動きとなろう。
東証株価指数(TOPIX)も小幅に続伸した。前引けは3.89ポイント(0.16%)高の2493.10だった。JPXプライム150指数も続伸し、1.02ポイント(0.09%)高の1120.30で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆7055億円、売買高は12億237万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1055。値下がりは545、横ばいは45だった。
業種別株価指数(33業種)は鉱業、石油・石炭製品、保険業などの上昇率が大きかった。下落は金属製品、非鉄金属、卸売業など。
個別では、決算発表や証券会社によるポジティブなレポートを材料にレーザーテックが売買代金トップとなりストップ高カイ気配に買われた。決算と自社株買いの枠を設定が材料視されていすゞが大幅高。ソニーグループがしっかり、ファーストリテイリング、ダイキンも堅調。ニトリホールディングスが大きく上値を追ったほか、東京海上ホールディングスも上昇した。ミガロホールディングスはストップ高カイ気配、ニッパツも急騰。INPEXや石油資源などの鉱業株が上昇した。
半面、ディスコが安く、アドバンテストも軟調、ソフトバンクグループ(SBG)も冴えない。太陽誘電やTDK、京セラなどの電子部品株の下げも目立った。住友鉱山、住友重機械、キーエンスが下落した。1-9月期の連結純利益が前年同期比73%減になる見通しと発表したSUMCOは下落率トップに売り込まれた。1-6月期純利益が前年同期比99%減となったことから資生堂はストップ安だった。
