9日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比549円08銭(1.58%)高の3万5380円23銭だった。
前日の米株式市場はNYダウが683ドル高と上昇。雇用関連指標が底堅く、米景気後退懸念が薄らいだ。米国株が上昇した流れを受け、東京株式市場も値を上げてスタート。外国為替市場で1ドル=147円台と円安に進んだことも好感され、日経平均株価は朝方に一時800円を超す上昇となる場面があった。自動車、半導体、銀行、商社など主力株に買いが入った。
8日のNYダウ工業株30種平均が大幅反発したほか、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6%超上昇するなど、ハイテク株の上昇が目立った。8日発表の週間の米新規失業保険申請件数は前の週から減ったほか市場予想も下回り、7月の米雇用統計をきっかけに広がっていた米景気後退への警戒感が和らいだ。リスク許容度の増した投資家の資金が日本株にも流入し、9日の東京株式市場では値がさの半導体関連をはじめハイテク株が上昇し、日経平均を押し上げた。
日経平均は朝方に上げ幅を840円ほどに広げたが、買い一巡後は上値の重さが目立った。日経平均の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は39と、前日からは低下しているものの、投資家の不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回っている。市場では「日米の金融政策が転換点を迎えて米景気の不透明感も残るなか、二番底への警戒は強く投資家は積極的な買いを手控えている」との声が聞かれた。
株式市場、為替市場ともに落着きが見られることから、指数重視の売買ではなく、決算発表中心の売買となりそうだ。本日は決算発表のピークを迎えることから、後場の取引時間中に出る決算銘柄への関心が高まりそうだ。12時台にDIC、13時台に大王紙、ENEOS、14時台に明治HD、ブリヂストンなどが予定されている。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは36.65ポイント(1.49%)高の2498.35だった。JPXプライム150指数も反発した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で3兆3152億円、売買高は12億8649万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1331。値下がりは287、横ばいは24だった。
業種別では、非鉄金属、石油・石炭製品、卸売業、サービス業、その他金融業などが上昇した一方、電気・ガス業、金属製品、陸運業、空運業、食料品などが下落した。
個別銘柄では、事業売却報道を材料にトレンドマイクロがストップ高買い気配となった。また、決算を材料に日揮ホールディングスが買われたほか、三井金属も今期純利益が65%増に上振れと伝わったことで買い優勢となった。東京エレクトロンやアドバンテスト、ソフトバンクグループ(SBG)が高く、三菱UFJフィナンシャル・グループ、コンコルディア・フィナンシャルグループ、ふくおかや三菱重工業、伊藤忠商事、トヨタ自動車が値を上げた。このほか、伊藤忠、テルモ、レゾナック・ホールディングスが買われた。
半面、レーザーテックやディスコが安く、ダイキン工業やTDKが軟調。資生堂も売られた。
7-9月期営業増益見通しの弱さが懸念されてネクソンが大幅安となったほか、SUMCOが引き続ききつい下落。決算発表が嫌気されたニコン、アマダ、バンナムHDも売り優勢となった。このほか、太陽誘電、三菱電機、ニチレイが下落した。
