12日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比35ドル21セント(0.09%)安の3万8712ドル21セントで終えた。
朝方発表された5月の米消費者物価指数(CPI)はインフレの鈍化を示す内容で、ダウ平均は取引開始直後に一時370ドル超上昇。ただ、午Bの金融政策決定を控える中で上げ幅を縮めた。終盤には、FRBによる年内の利下げ回数の想定が従来の3回から1回に減ったことが嫌気され、マイナス圏に沈んだ。
5月の米CPIは前月比の上昇率が横ばいとなり、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.1%上昇)を下回った。エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率も前月比、前年同月比ともに4月から鈍化し、市場予想以下だった。
FOMCでは参加者の政策金利見通しで年内の利下げ予想回数が1回と、前回(3回)から減った。市場では2回となるとの予想が多かった。「インフレ沈静化や利下げ開始に市場の想定よりも時間がかかるとの見方が改めて広がった」(シーミス・トレーディングのジョゼフ・サルッジ氏)との声があった。ダウ平均は一時、120ドルあまり下げた。
一方、FOMCの声明文では「物価目標に向けて緩やかながらもさらなる進展があった」と指摘し、前回の「進展を欠いている」から表現を改めたことは一定の安心感につながった。引けにかけては下げ渋った。
ダウ平均ではシェブロンやナイキ、セールスフォースが下げた。一方、アップルが続伸し連日で最高値を更新した。一時は時価総額がマイクロソフトを上回り、米国市場で1位となる場面があった。ホーム・デポやマイクロソフト、ゴールドマン・サックスも高かった。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比264.890ポイント(1.52%)高の1万7608.436と連日で最高値を更新した。エヌビディアが上昇し、半導体株も全般に高かった。
S&P500種株価指数も3日続伸し、前日比45.71ポイント(0.85%)高の5421.03で終え、連日で高値を更新した。
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比265円高の3万9170円で終えた。この日はハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数が連日で最高値を更新するなど米国株が堅調に推移し、日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39170 ( +220 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39165 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8215.48(+67.67)
12日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前日比67.67ポイント(0.83%)高の8215.48で終えた。12日に発表された英米の経済指標を受け、英国と米国でそれぞれ利下げ開始時期が遅れるとの過度な警戒感が和らぎ、投資家心理を支えた。
ロイズ・バンキング・グループなど銀行株をはじめとする金融、資本財や消費関連の銘柄にも買いが優勢となった。英BPなどエネルギー株が下げたほか、資源株の一角には売りが出た。
英統計局が12日発表した4月の英実質国内総生産(GDP)は、前月比横ばいにとどまった。米国で発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月や前月と比べた上昇率が市場予想を下回った。
FTSEの構成銘柄では、米投資家ネルソン・ペルツ氏率いる投資会社トライアン・ファンド・マネジメントが株式を買い集めていると伝わった有害生物管理会社レントキル・イニシャルが13.73%高と急騰。保険会社セント・ジェームズ・プレイスは4.92%高、システムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリーも4.07%高と買われた。
一方、再保険大手リーガル・アンド・ゼネラルは5.47%安、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールは2.41%安、通信大手ボーダフォンは1.57%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18630.86(+260.92)
12日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反発し、前日比260.92ポイント(1.42%)高の1万8630.86で終えた。前日までの下げを受けて目先の自律反発を期待した買いが先行していたところに、米利下げ期待につながる米経済指標が重なり、相場を押し上げた。
個別では、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが4.44%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.53%高、業務用ソフトウエア大手SAPが3.42%高とけん引した。
欧州連合(EU)の欧州委員会が中国製の電気自動車(EV)に対する輸入関税を引き上げると決めたのを受け、中国による対抗措置への懸念が強まった。自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの持ち株会社ポルシェSEは7.18%安と急落したほか、医療機器のザルトリウスは1.76%安、VWも1.48%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7864.70(+75.49)
フランスの代表的な株価指数であるCAC40は4営業日ぶりに反発し、前日比0.96%高で終えた。
この日発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が弱めの内容となったことを受け、市場では米早期利下げ観測が強まり、欧州市場でも幅広い銘柄に買いが入った。英国の4月の実質GDP(国内総生産)速報値が前月比で横ばいにとどまったことも、英早期利下げ期待を高めた。