27日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比36ドル26セント(0.09%)高の3万9164ドル06セントで終えた。米長期金利が低下(債券価格は上昇)し、ハイテク株の一部に買いが入った。
半面、半導体株の下げが目立った。積極的に買いを入れる材料に乏しく、ダウ平均は小幅な上昇にとどまった。
市場では、5月の米個人消費支出(PCE)物価指数や、27日夜に予定されている米大統領選候補者による討論会の内容を見極めたいとの思惑から、積極的な取引は手控えられた。ダウ平均、ナスダックともに上値は重かった。
27日の米債券市場では堅調な国債入札に加え、同日発表の米経済指標が景気の減速を示したとの受け止めもあって長期金利が低下した。金利と比べた株式の相対的な割高感が薄れたのは米株相場を下支えした。
ダウ平均の構成銘柄では、セールスフォースとアマゾン・ドット・コムが上昇した。ボーイングやシスコシステムズ、ユナイテッドヘルス・グループなど相対的に出遅れ感のあった銘柄への買いもダウ平均を押し上げた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のマイクロン・テクノロジーが大幅に下落した。26日夕に発表した2024年3〜5月期決算にあわせて示した業績見通しが慎重だと受け止められた。人工知能(AI)向け半導体による業績拡大への期待が大きかっただけに、利益確定の売りで、7.1%安と相場の足かせとなった。
エヌビディアやクアルコムなど他の半導体株も下げ、米株相場の上値を抑えた。
アトランタ連銀のボスティック総裁は27日、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策について「10〜12月期に利下げする可能性が高い」との認識を示した。今後の経済指標次第で妥当な政策は変わると付け加えたが、市場ではFRBが9月に利下げに動くとの期待がやや薄れ、株式相場の重荷になった。
ほかでは、ハネウェル・インターナショナルとトラベラーズが上昇した。一方、ビザやゴールドマン・サックス、メルクには売りが出た。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比53.528ポイント(0.30%)高の1万7858.684で終えた。メタプラットフォームズやネットフリックスが上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比155円高の3万9570円で終えた。
NYダウ平均は、翌日に米物価統計の発表を控えて様子見姿勢が広がる中、小幅続伸した。
この日は一部のハイテク銘柄が主導する形で米株式相場が底堅く推移し、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39570 ( +160 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39620 ( +210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8179.68(-45.65)
27日のFTSE100種総合株価指数は3日続落し、前日比45.65ポイント(0.55%)安の8179.68で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視する物価統計の公表を28日に控え、積極的な買いが入りにくかった。外国為替市場でポンド買い・ドル売りが優勢となり、海外の売上高比率が高い銘柄の重荷となった面もある。
FTSEの構成銘柄では、高級衣料のバーバリーが6.45%安となり、GSKが4.60%安、保険大手プルデンシャルが3.29%安で続いた。一方、包装資材大手DSスミスは15.69%高と急伸。同業モンディは3.59%高、金融大手バークレイズも1.89%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18210.55(+55.31)
27日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比55.31ポイント(0.30%)高の1万8210.55で終えた。ソフトウエア大手SAPや独シーメンスなど時価総額が大きい主力株に買いが優勢で、指数を押し上げた。ただ市場の関心が高い米物価統計の発表を28日に控え、上値を追う勢いは限られた。
個別では、航空機エンジン大手MTUエアロが5.57%高、総合電機大手シーメンスが2.55%高、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが1.90%高だった。半面、防衛大手ラインメタルは2.92%安、医療機器のザルトリウスは2.65%安、化粧品大手バイヤスドルフは2.50%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7530.72(-78.43)
欧州株式市場でフランスの主要な株価指数であるCAC40は3日続落し、前日比1.03%安で終えた。終値は7530.72と約2週間ぶりの低水準となった。自動車の欧州ステランティスや化粧品大手の仏ロレアル株が下げた。消費関連や公益株にも売りが優勢だった。
