28日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比386円37銭(0.98%)高の3万9727円91銭だった。
前日の米株式市場では、NYダウやナスダック指数が上昇した。これを受け、東京市場は買い先行となり日経平均株価は一時440円あまり上昇した。大手銀行株が商いを膨らませて値を上げるなど、生損保や証券など金融株が値を上げた。自動車や海運株が買われ、半導体関連株は反発した。TOPIXは3カ月ぶりに年初来高値を更新して推移している。為替は一時1ドル=161円台に乗せ円安が進行している。
東エレクやアドテスト、レーザーテクといった半導体関連などがけん引役となり、日経平均は上げ幅を440円ほどに拡大する場面もあった。米半導体大手マイクロン・テクノロジーは26日夕に発表した業績見通しが市場の期待に届かなかったとして27日の米株式市場で大幅下落した。ただ、26日の時間外取引でもマイクロンはすでに急落していたため、東京市場では織り込み済みとの見方から半導体関連は上昇した。ソフトバンクグループ(SBG)も買われた。
総務省が今朝発表した6月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合の上昇率が前月から拡大した。足元で進む円安・ドル高も輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げるとの見方から、日銀が7月にも追加利上げに動くとの思惑が高まっている。金利上昇で利ざや拡大期待が意識されやすい三菱UFJが大幅高となるなど銀行・保険株の上昇が目立った。
投機筋の円売りも巻き込みながら円相場は一時1ドル=161円台に下落した。前日は小幅に下落していたトヨタやホンダは、きょうは上昇して円安進行に伴って強含んだ。半面、中国景気に対する慎重な見方が再び意識されるなかで、資生堂やオムロンなど中国景気に業績が左右されやすいとされる銘柄の一角は下げた。
11月の米大統領選に向けた第1回のテレビ討論会が米東部時間27日午後9時(日本時間28日午前10時)から行われた。民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領はインフレや不法移民問題を巡って論戦を交わした。市場では「互いを批判するような展開となっており、足元の株式相場には織り込めない」との見方があり相場への反応は限られた。
為替は、10時過ぎに1ドル161円20銭台水準まで円安ドル高が進行した。10時の値決めのタイミングでドル買い需要が強まったとの観測だが、米国で行われている大統領選挙に向けた第1回のテレビ討論会で「トランプ優勢」との見方が強まったことでドルが買われたとの声も聞かれる。また、為替介入の陣頭指揮を執っていた神田財務官が交代し、後任に三村国際局長が就くと伝わったことも円安基調を強める材料となったもよう。
為替市場が円安ドル高で動いていることから、後場は、政府・日本銀行による円買いドル売り介入実施への警戒感がより高まり日本株上昇は一服となろう。日経平均、TOPIXは為替動向を睨んだ神経質な展開となりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは22.81ポイント(0.82%)高の2816.51と、3月22日の年初来高値を上回った。JPXプライム150指数も反発し、算出以来の高値を上回って前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9564億円、売買高は8億746万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は648、値下がりは942、横ばいは55だった。
業種別では、保険業、銀行業、証券・商品先物取引業、海運業、卸売業などが上昇した一方、電気・ガス業、空運業、パルプ・紙、食料品、小売業なども下落した。
個別銘柄では、レーザーテック、アドバンテスト、ソフトバンクグループなど半導体関連銘柄の一角が買われたほか、MS&AD、T&Dホールディングス、東京海上ホールディングス、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ、みずほなど金融株の上げも目立った。このほか、住友ファーマ、荏原製作所が買われた。
レーザーテックやディスコが買われ、トヨタ自動車や三菱重工業、川崎汽船が上昇した。
一方、証券会社によるレポートがネガティブ視されて日野自動車が売られたほか、資生堂、花王、ニデック、オムロンなど足元構造改革などを実施している銘柄の下げがやや目立った。このほか、シャープ、NEC、オリンパスが売られた。楽天グループ、東京電力ホールディングス、任天堂が安く、アシックスが軟調だった。
