21日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比66ドル22セント(0.16%)高の3万9872ドル99セントで終えた。
この日は米主要経済指標の手掛かりに欠けたが、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)の高官が発言。ウォラー理事の金融政策に関する見解などが伝わったものの、翌日明らかにされる連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、人工知能(AI)ブームをけん引する米半導体大手エヌビディアの決算を控え、様子見ムードが強かった。
市場ではFRBが年内に利下げをするとの観測から、米国の景気や企業業績に楽観的な見方が広がっている。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった前日に下げた銘柄の一部に買いが入った。IBMとユナイテッドヘルス・グループも上昇し、ダウ平均を支えた。
ダウ平均は下げる場面があった。米主要株価指数は5月に水準を切り上げていた。短期的な相場の過熱感を指摘する声もあり、持ち高調整や利益確定の売りが出やすかった。スリーエムやセールスフォース、インテルが下げた。
FRBのウォラー理事は21日の講演で、「利下げ転換を支持するには、数カ月分の良い物価指標をみる必要がある」との見方を示した。このところFRB高官からは利下げに慎重な発言が続いており、株式相場の重荷となった。
22日にはエヌビディアが2024年2〜4月期決算を発表するほか、FRBが4月30日〜5月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表する。市場では「(重要イベントを前に)持ち高を傾ける動きは限定的で積極的な取引が手控えられた」との指摘があった。
その他の個別銘柄では、マイクロソフトが最高値を更新した。アップルとウォルマートも上昇した。半面、キャタピラーとボーイングが下げた。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比37.750ポイント(0.22%)高の1万6832.624で終え、連日で最高値を更新した。アルファベットとテスラが上昇した。
S&P500種株価指数は前日比13.28ポイント(0.25%)高の5321.41で終え、15日以来の最高値更新となった。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比435円安の3万8860円で終えた。新規材料待ちで方向感に乏しい中、米株式相場が上昇した。だが、日経平均株価が下落した流れを引き継ぎ、日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38860 ( -80 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38875 ( -65 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8416.45(-7.75)
21日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反落し、前日比7.75ポイント(0.09%)安の8416.45で終えた。欧米の金融政策の先行きに不透明感が意識されるなか、最高値圏で推移していることもあって利益確定の売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、通信大手BTが3.21%安と下落したほか、工業・電子製品大手RSグループが2.71%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションが2.58%安と低調だった。資産運用大手シュローダーが3.89%高、2030年までに年間売上高を800億ポンド(23年は約458億ポンド)にするとの目標を公表した製薬大手アストラゼネカが2.22%高と伸びた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18726.76(-42.20)
21日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比42.20ポイント(0.22%)安の1万8726.76で終えた。米連邦準備理事会(FRB)関係者の発言などをきっかけに米欧の主要中央銀行による利下げへの過度な期待がそがれ、投資家心理の重荷となった。
個別では、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズ(3.05%安)や不動産大手ボノビア(2.41%安)、郵便・物流大手ドイツポスト(1.76%安)が売られた半面、ハノーバー再保険(1.43%高)や素材化学大手コベストロ(1.07%高)が買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 8141.46(-54.51)
フランスCAC40種指数は0.67%安だった。銀行株や高級ブランド株の下落が足を引っ張り、小反落。
