自由さとこだわり

「自由さとこだわり」
 
伸びる企業の条件の一つとして最近感じているのは「自由さ」と「こだわり」。
自由さと風通しの良さは少し違うかも知れないが社内部門という組織を超えた活動の自由さ。
あるいは、「やってみなはれ」的なトップの寛容さ。
以前の対面営業数字至上主義ベッタリの証券会社のような真逆の存在の企業が伸び伸びと成長しているように見える。
細かい数字にこだわるようでは毎年数%の成長はできるのだろうが、2倍3倍の成長というのはおそらくフロック。
アミーバのような拡張のために必要なのは自由だ。
例えば、会議のない世界というのはバッジをつけている限り逃れられない現実。
でも会議の参加者の多くは主催者を除いてその会議に意義を見つけているのかどうかは疑問。
もしも日本の企業社会から会議という名の時間の束縛と全体主義が消えると、企業の生産性は桁違いに増えるような気がする。
もう一つは「こだわり」あるいは「プロ意識」。
そもそも企業の人間はアマチュアではない。
しかも外から見れば誰もがプロである。
だったら仕事に責任を持つプロ意識というこだわりは決して捨てて良いものではない。
プロとして、その仕事が顧客に対して恥ずかしくないかどうか。
これを自問する企業風土というのも成長企業の条件だ。
こだわりの上で満足できるものでなければ提供しない勇気なんてものは滅多にお目にかからない。
でも「100%満足できる仕上がり」のものを「絶対に失敗しない」というプロ意識。
「こだわり」の商品・サービスを提供している企業が追求しているのは、目先の利益ではなく永続的なブランドと信用。
だからこそ長期的なく成長が可能になる筈。
 
前場取材に行った化学セクターの225採用銘柄。
中期計画での2018年度の営業利益目標を今期でクリアできそうなほど業績は好調。
グループスローガンは「具体化。」。
化学の企業は大抵がBtoBで最終製品が消費者の目に触れることは滅多にない。
しかしその製品は社会にとって必要不可欠。
日常性のなかに埋没しているが便利さの代名詞は「化学」ということができる。
興味深かったのは取材中のコメント。
「そもそも産業は自動車・電気・化学と言われます。
GDPへの寄与でも設備投資でもこの3業種はメインです。
自動車も電気も目に見えるのですが化学は目に見えません。
でも生活を支えているというのが歴然とした現実です。
例えば東南アジアなどで中間層が増え始めました。
食品分野ではラップ包装や食品トレーなどは一度使ったらその便利さを捨てることはできません。
あるいは、ビッグデータやIoTが進むことも化学にとっては追い風。
データを保存するハードディスクはクラウドの進展でまさに需要が拡大。
データというのは面白いもので、なかなか捨てられませんし消されません。
ここも化学の分野です。
産業としての化学の未来って相当広がっています」。
リチウムイオン電池、パワー半導体、黒鉛電極・・・。
原料がなければ何も進まない世界で市場は実は目に見えそうなものばかりを対象にして動いている。
ここにまだ隙間があるように思えてならない。
この化学会社の広告は「化学小説、人生は方程式」。
「化学のチカラで夢を具体化。」
そして昨今話題の「ESG」。
GPIFがターゲットとしたのは「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」、
「FTSEブロッサムジャパン」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」。
この企業は3指数ともに採用されている。
相当面白い取材だった。
 
(櫻井)。

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