9日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比193円72銭(0.49%)高の3万9540円76銭だった。
きょう前場は値がさハイテク株や非鉄株、不動産株などを中心に広範囲に買いが優勢となった。前日の米国株市場では主要株価指数が高安まちまちで方向感の見えにくい展開だったが、米長期金利の上昇に連動して為替が1ドル=151円台後半の円安に振れたことをポジティブ材料に東京株式市場ではリスク選好の地合いとなった。
ただ、あすの米消費者物価指数(CPI)発表を控え積極的に上値を買い進む動きには発展せず、日経平均は伸び悩み上げ幅は限定的となっている。商いも低調で、前場の売買代金は2兆円を下回った。
米商務省は8日、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が米アリゾナ州に建設する新工場に最大66億ドル(約1兆円)の補助金を支給すると発表した。最先端の2ナノ(ナノは10億分の1)メートル品をつくる計画で、設備投資が活発になるとの思惑から最先端半導体向け装置を手掛けるレーザーテクに物色が向かったほか、東エレクやスクリンも買われた。
商社株の一角には思惑的な買いが入った。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが円建て社債の発行を準備していることが9日わかった。バークシャーは日本の5大商社株を買い進めており、三井物や住友商が高値をつけた。
半面、米利下げの時期が遠のくとの観測が引き続き相場の重荷となった。東京市場でも朝方の買い一巡後に一段の上値を追う動きは乏しかった。
8日の米国市場も商いが少なかったことで東京市場固有の事象ではないが、様子見ムードは強く、後場も小動き推移の相場展開を想定する。
一方、市場では、「ラマダンがそろそろ終了するため、オイルマネーが再度流入すると推測」といった指摘もある。ラマダン明けのイード休暇(2-3日)が終わるのは今週末と見られることから、来週以降、売買代金が増加する可能性もあるだろう。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは9.12ポイント(0.33%)高の2737.44だった。JPXプライム150指数は続伸し、3.82ポイント(0.32%)高の1185.08で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9117億円、売買高は7億3067万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は926。値下がりは648、横ばいは77だった。
セクター別では、非鉄金属、空運業、不動産業、卸売業、証券・商品先物取引業などが上昇した一方、精密機器、海運業、パルプ・紙、医薬品、銀行業などが下落した。
個別ではレーザーテック、東京エレクトロンが上昇、信越化学工業も堅調。野村マイクロ・サイエンスは大幅高に買われた。トヨタ、安川電が上げた。さくらインターネットが商いを膨らませ値を飛ばしたほか、第一三共、ニトリHDは下げた。
ジャステックは値上がり率トップとなった。ソースネクストも物色人気になった。
半面、前日に続き売買代金首位の座を占めるソシオネクストはやや売り物に押される展開。ロームが大きく売られ、キーエンスも軟調。ソフトバンクグループ(SBG)が冴えない。マニー、ウエルシアホールディングスなども値を下げた。
