29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。
終値は前日比56ドル97セント高の２万1865ドル37セントだった。
昨日の北朝鮮によるミサイル発射を受け、地政学リスクへの警戒感から売りが先行した。取引開始直後にダウ平均は134ドル安となり、約１カ月ぶりの安値圏に沈む場面があった。トランプ米大統領の声明を公表。北朝鮮の行動を非難し「全ての選択肢がテーブルの上にある」として軍事解決も辞さない姿勢を示した。
だが、売り一巡後、ダウ平均は上げに転じた。米市場では北朝鮮情勢について「軍事衝突にまでエスカレートする状況にはない」との楽観論が根強い。
米株式相場が軟調に推移した後とあって、押し目買いが活発となり相場を押し上げた。
テキサス州に上陸したハリケーン被害の影響に対する不透明感や長期金利の低下が嫌気されるも、8月消費者信頼感指数が予想を上振れした。
米調査会社コンファレンス・ボードが29日発表した８月の米消費者信頼感指数は前月比2.9ポイント高い122.9だった。市場予想（120.7）を上回り、現状指数は2001年７月以来およそ16年ぶりの高さとなった。雇用の力強い回復を背景に消費者心理は上向いており、米景気への期待が米株買いを誘った。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比18.871ポイント高の6301.886で終えた。主力のスマートフォン「iPhone（アイフォーン）」の新モデルに対する期待が高いアップルが約２週ぶりに上場来高値を更新。アマゾン・ドット・コムやアルファベット（グーグル）など代表的なネット関連株も軒並み買われ、指数を押し上げた。
セクター別では、資本財や食品・生活必需品小売が上昇する一方で耐久消費財・アパレルや銀行が下落した。
北朝鮮情勢の緊迫化を背景に軍需産業への需要が高まり、業績を後押しするとの思惑から防衛企業のレイセオン(RTN)、ロッキード・マーティン（LMT）やノースロップ・グラマン（NOC）、航空機のボーイング(BA)など防衛株が上昇した。
一方で、家電量販店のベストバイ(BBY)が安い。29日発表した2017年５～７月期決算は市場予想を上回る増収増益だったものの、株価が高値圏で推移していたうえ、経営陣が先行きに慎重な見方を示したのを嫌気した売りが膨らんだ。
前日夕に通期の業績予想を下方修正したスポーツ用品販売のフィニッシュ・ライン(FINL)が急落し、スポーツ用品メーカーのアンダーアーマー(UA)、ナイキ(NKE)などにも売りが広がった。
NYダウ工業株30種（ドル）
21,865.37＋56.97
S&P500種
2,446.30＋2.06
ナスダック
6,301.886＋18.871
米10年債利回り 2.128 ( -0.029 )
円・ドル109.64 – 109.65 ＋1.14
ＮＹ(WTI)原油 46.44 ( -0.13 )
ＮＹ金 1318.9 ( +3.6 )
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅続伸した。９月物は前日比５円高の１万9470円で引け、同日の大取終値を90円上回った。北朝鮮情勢の緊迫化を巡る警戒感の薄れから米株が反発し、日本株も買われた。円安も支援材料になった。
朝方は北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことから売りが先行した。この日の９月物高値は１万9495円、安値は１万9045円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
19470 ( +90 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
19475 ( +95 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7337.43（-64.03）
FTSE100種総合株価指数は続落。前週末25日の終値に比べ64.03ポイント安の7337.43で引けた。北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて地政学リスクが意識され、リスク回避姿勢が強まり、欧州各国株式相場が下落した。英国市場では石油株の下げが指数を押し下げ、構成銘柄の約８割が下落した。
石油のＢＰとロイヤル・ダッチ・シェルが売られた。ブリティッシュ・アメリカン・タバコなどたばこ株とグラクソ・スミスクラインなど医薬品株も下がった。
金融株も売られ、中でも銀行のバークレイズと保険のプルーデンシャル、資産運用のスタンダード・ライフ・アバディーンの下げが目立った。
半面、安全な避難先として金が買われ、関連のランドゴールド・リソーシズは４％超、フレスニージョも２％超、それぞれ上昇した。
飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング、衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズも上がった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11945.88（-177.59）
ドイツ株式指数（ＤＡＸ）は３日続落した。終値は前日比177.59ポイント安の11945.88だった。全銘柄が下落した。北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けてリスク回避姿勢が強まり、欧州各国株式相場が下落した。
放送大手のプロジーベンザット１メディアは14％安。第３四半期のＴＶ広告収入が減少するとの見通しを示したことが嫌気された。鉄鋼のティッセン・クルップとコメルツ銀行、ドイツ銀行の下げも目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5031.92（-47.83）
