14日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比137ドル66セント(0.35%)安の3万8905ドル66セントで終えた。
この日発表の2月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を大幅に上回り、インフレのしつこさが示された。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始が後ずれするリスクのほか、米長期金利の上昇が嫌気され、半導体関連など多くの銘柄が値下がりした。
一方で同日公表された2月の米小売売上高は事前予想を下回り、消費の減速を印象付けた。「インフレは強く、消費は弱いという最悪の組み合わせ」だったことで、株を手放す動きが拡大。ダウは一時300ドル超安となったが、終盤に押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。
2月のPPIの前月比の上昇率は0.6%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%)を上回った。エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想以上だった。今週発表された2月の米消費者物価指数(CPI)も市場予想より上振れし「米連邦準備理事会(FRB)が今後数回の会合で(利下げの判断を)見送ることを後押しするだろう」と受け止められた。
米長期金利は4.3%ちょうど付近と前日終値(4.19%)を大きく上回る場面があった。米原油先物相場が上昇し、一時は1バレル81ドル台半ばと期近物として昨年11月以来の高値を付けた。「原油高はインフレ抑制の足かせになる」との見方も誘った。
朝方発表の2月の米小売売上高は前月比0.6%増と、市場予想(0.8%増)に届かなかった。1月分は下方修正された。「インフレの根強さが残る一方、消費は想定ほど伸びず先行きの景気減速への懸念もくすぶった」との声も聞かれた。
朝方は高く始まった。主力ハイテク株の一部が相場を押し上げ、ダウ平均は2月23日に付けた最高値(3万9131ドル)を上回る場面があった。ただ、買い一巡後は急速に伸び悩んだ。
JPモルガン・チェースやIBM、ハネウェル・インターナショナルが安い。ナイキやアメリカン・エキスプレスなど消費関連株も売られた。半面、マイクロソフトが2%強高となった。アマゾン・ドット・コムやアップルも高い。原油高を受け、シェブロンも買われた。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比49.236ポイント(0.30%)安の1万6128.530で終えた。エヌビディアが3%強安となった。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やマイクロン・テクノロジーなど他の半導体株の一角も下落した。アナリストが目標株価を引き下げた電気自動車のテスラの下げも目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比85円安の3万8290円で終えた。
NYダウ平均は、インフレの根強さを示す米経済指標を受け、4営業日ぶりに反落した。同日は米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
38290 ( -300 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
38365 ( -225 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・FTSE100
7743.15(-29.02)
14日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比29.02ポイント(0.37%)安の7743.15で終えた。市場予想を上回る米物価指標や米長期金利の上昇を背景に、14日の米株式市場で主要な株価指数が下げ幅を広げると、FTSE100種指数も水準を切り下げた。
英長期金利の上昇を背景に、金利動向に敏感なセグロなど不動産投資信託(REIT)が下げた。英アングロ・アメリカンといった資源株に売りが優勢だったほか、英ナットウエスト・グループなど銀行株にも売りが出た。他方、英シェルなどエネルギー株には買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、鉱業大手アングロ・アメリカンが5.34%安と下落幅トップ。金融大手ナットウエストが5.06%安、物流施設大手セグロが3.69%安と続いた。一方、ビジネス情報会社インフォーマは2.46%高、段ボール大手スマーフィット・カッパは1.69%高だった。
■ドイツ・DAX
17942.04(-19.34)
14日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に続落し、前日比19.34ポイント(0.10%)安の1万7942.04で終えた。14日発表の2月の米卸売物価指数(PPI)の上昇率が市場予想以上だったことなどを材料に米国の利下げ開始時期が遅れる可能性が意識され、投資家心理の重荷となった。ただ、下値は限られた。
個別では、電力大手RWE(3.53%安)や自動車大手BMW(3.04%安)、前日に大幅高となっていた通販大手ザランド(2.90%安)が売られた半面、今期の良好な業績見通しが発表された防衛大手ラインメタル(5.29%高)や、エネルギー大手シーメンス・エナジー(3.48%高)が買われた。
■フランス・CAC40
8161.42(+23.84)
欧州株式市場で、フランスの主要な株価指数であるCAC40は3日続伸し、連日で最高値を更新した。エネルギー株や高級ブランド株に買いが入った。午後に入るとCAC40も上げ幅を縮めた。