54ドル安と4日ぶりに反落、利益確定売りが優勢

9日のNYダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落し、前日比54ドル64セント(0.14%)安の3万8671ドル69セントで終えた。
足元の株高を受け、前日に大幅上昇したウォルト・ディズニーなどの銘柄を手放す動きが優勢になった。一方、半導体関連を中心にハイテク株の多くが値上がりし、投資家が注目するS&P500種株価指数が終値で初めて5000を上回った。
 
オープンAIのアルトマン最高経営責任者(CEO)が、半導体生産に向けた資金調達の交渉に動いているとの報道を受け、半導体製造装置メーカーが大幅高となった。また、エヌビディアがクラウド事業者向け半導体関連の新部門を設立するとの別の報道も背景に、ハイテク銘柄に買いが集まった。
ただ、米長期金利が一時前日比0.04%高い(債券価格は安い)4.19%を付けたのも、株式の相対的な割高感につながった。決算を手がかりに前日に大幅高となった映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど幅広い銘柄に売りが広がり、ダウ平均は160ドル近く下げる場面があった。

一方、人工知能(AI)需要で業績への追い風が強まるとの見方からハイテクや半導体株への買いが続いた。9日午後にはロイター通信が画像処理半導体のエヌビディアがクラウド事業者などのカスタム半導体の設計を手がける部門の設立に動いていると報じた。ダウ平均ではソフトウエアのマイクロソフトや半導体のインテル、IT(情報技術)のIBMなどが買われた。

ダウ平均は寄り付き直後には小幅に上げる場面もあった。米労働省が9日に発表した米消費者物価指数(CPI)の年次改定結果で、2023年12月の前月比の上昇率が0.3%から0.2%に下方修正された。インフレが再加速するとの警戒感が和らいだ。

S&P500種株価指数は4日続伸し、前日比28.70ポイント(0.57%)高の5026.61と過去最高値で終えた。終日、節目の5000を上回って推移し、相場上昇に乗り遅れまいとする投資家の買いを誘った面があった。

ナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比196.949ポイント(1.24%)高の1万5990.664と21年11月以来の高値で終えた。エヌビディアを中心に半導体株の上昇が目立った。ネット通販のアマゾン・ドット・コムも高かった。

 

【シカゴ日本株先物概況】
 

9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比60円高の3万7155円で終えた。同日の米株式市場でハイテク株中心のナスダック総合指数は強含み、日経平均先物にも買いが及んだ。
ただ、NYダウは利益確定の売りが先行し4日ぶりに反落した。
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
37155 ( +265 )


シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
37175 ( +285 )


( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

9日のFTSE100種総合株価指数は3日続落し、前日に比べ22.90ポイント(0.30%)安の7572.58で終えた。英国や米国で金融政策が利下げ方針に転じる時期が市場の想定より遅くなるとの観測から英米の長期金利が上昇し、投資家心理の重荷となった。

銀行・保険といった金融株や素材株に売りが出て、指数を下押しした。不動産投資信託(REIT)も下げた。半面、情報関連サービスのRELXなどの商業・専門サービスやエネルギー株が買われ、指数を下支えした。

FTSEの構成銘柄では、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズと産金大手フレスニロがいずれも3.35%安、再保険大手リーガル・アンド・ゼネラルが3.11%安、資源大手グレンコアが2.96%安と売られた。一方、包装資材大手DSスミスは2.46%高、賭け屋大手エンテインは2.42%高、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは1.91%高だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

9日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比37.33ポイント(0.22%)安の1万6926.50で終えた。欧米の中央銀行による早期の利下げ観測が足元で後退しつつある。9日の取引で欧米の長期金利が水準を切り上げたことが嫌気された。

不動産株が下げたほか、化学大手のBASFなど素材株にも売りが出た。9日のパリ株式市場で化粧品大手のロレアル株が大幅安となり、ドイツでも化粧品メーカーのバイヤスドルフ株に売りが波及した。一方で医薬品などヘルスケア関連の銘柄には買いが入った。

DAXの構成銘柄ではないが、商業用不動産向け融資を手掛ける中堅銀行のドイツ・ファンドブリーフバンク株には売りが続いた。9日まで5日続落し、週間では約18%下げた。

個別では、総合電機大手シーメンスが2.51%安、化学品商社ブレンタークが2.33%安、不動産大手ボノビアが1.99%安。半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは1.48%高、防衛大手ラインメタルは1.36%高、コメルツ銀行は1.12%高だった。
 

■フランス・パリ株価指数
 

フランスCAC40種指数は0.24%安(週間は0.73%高)だった。
複数の欧州中央銀行(ECB)高官の発言などを手掛かりに早期利下げ観測が後退。国債利回りが上昇し、株価の重しとなった。
 

 

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