16日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比347円95銭(0.91%)高の3万8505円89銭だった。10時過ぎには707円高の3万8865円まで上昇し、1989年12月29日の最高値(3万8915円)まであと50円ほどに迫る場面もあった。
前日の米株式市場は、NYダウは348ドル高と大幅続伸。米ソフトランディング期待が膨らんだ。また、アプライド・マテリアルズの決算が好調で、同社の株価は時間外取引で急伸したことを受け、朝方に半導体関連株が軒並み高となったことも東京株式市場の追い風となった。日経平均株価の上げ幅は一時700円を超し3万8800円台まで上昇。1989年12月につけた史上最高値(3万8915円)に迫る場面があった。
ただ、買い一巡後は半導体関連株に利益確定売りが膨らみ日経平均株価の上昇幅は縮小した。
AMATの決算では2023年11月〜24年1月期の売上高などが市場予想を上回り、24年2〜4月期の売上高予想の中心値も市場予想を上回る見込みとなった。背景には人工知能(AI)向け半導体の需要増があるとみられ、東京市場でもアドテストや東エレクが連日で株式分割考慮後の上場来高値を更新した。
来週21日には画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアの決算発表も控え、足元では半導体関連株の持ち高をさらに増やそうとする海外投機筋の買いが株価を押し上げている。だが、一方的な株価の上昇で過熱感が強まるなか、アドテストと東エレクは下げに転じる場面もあった。市場ではエヌビディアの決算で出尽くし感が広がる可能性を指摘する声も出ていた。前引け時点でアドテストは0.96%安で、スクリンとレーザーテクも下げて前場を終えた。東エレクは0.25%高にとどまった。
東京外国為替市場では円相場が1ドル=150円台で推移している。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が一段と後退する一方、日本では前日に発表された23年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続のマイナスとなったことで日銀のマイナス金利解除など政策修正が遠のくとの見方が浮上している。米国と比べて日本では緩和的な金融政策が続くとの楽観も日本株にとって支援材料となった。日銀の植田和男総裁は11時35分から衆院財務金融委員会に出席している。
アジア株式市場は、香港ハンセン指数が小幅高で推移しているが、上海市場は引き続き春節に伴う休場のためアジア株式市場の参加者は引き続き少ない。一方、為替は1ドル150円10―20銭で推移しており、連日で政府要人による口先介入を観測。円安進行一服を受けて輸出関連銘柄への支援材料とはならないだろう。後場の日経平均は半導体株次第といったところか。史上最高値更新に向けて、前場残したやや長い上影(上ヒゲ)を少しでも吸収したいところだ。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは前日比32.68ポイント(1.26%)高の2624.53と、昨年来高値を上回った。JPXプライム150指数は続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で3兆7151億円、売買高は11億6136万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1418と全体の85%ほどを占めた。値下がりは213、横ばいは26だった。
業種別株価指数(33業種)は石油・石炭製品、鉱業、保険業、不動産業などが上昇。下落は金属製品。
個別では、前日、急騰した楽天グループが引き続き買われたほか、損保会社の政策保有株の売却の話が相次いでいることが影響しT&Dホールディングス、第一生命HDも買い優勢となった。ファストリ、リクルート、KDDI、バンナムHD、オリンパス、出光興産、三井物産、資生堂が買われた。
一方、今期大幅増益見通しも材料出尽くし感が先行したトレンドマイクロが急落したほか、スクリーンHD、SUMCO、レーザーテック、アドバンテストなど半導体関連が安い。また、ソニーグループ、ソフトバンクグループ(SBG)、ソニーGが下落した。
