5日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比25ドル77セント(0.06%)高の3万7466ドル11セントで終えた。
朝方発表された昨年12月の米雇用統計では、非農業部門の就業者数が伸びが前月から拡大し、市場予想も上回った。
雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比21万6000人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(17万人増)を上回った。失業率は3.7%と前月から横ばいとなり、市場予想(3.8%)を下回った。堅調な労働市場を背景に米景気は大幅な落ち込みが避けられるとの見方を誘い、景気敏感株や消費関連株が買われやすかった。
米サプライ管理協会(ISM)が公表した昨年12月のサービス業購買担当者景況指数(PMI)が弱含んだ内容で長期金利が一時的に低下したため、ダウが買われた。
米国債に買いが入り、長期金利が低下する局面でダウ平均の上げ幅は一時180ドルを超えた。
年初からハイテク株を中心に売りが広がっていたため、市場では「ショートカバー(売り方の買い戻し)も入りやすい」との声が聞かれた。
ただ、連邦準備制度理事会(FRB)による3月の利下げ観測が改めて後退し、相場の重荷となった。
その後は売り買いが交錯する展開が続き、ダウはマイナス圏に沈むなど方向感を欠いた。
「労働市場は底堅いとの見方は1~3月期中の利下げ観測を後退させる」(JPモルガン)との受け止めも広がった。ダウ平均は最高値圏で推移するなか、短期的な過熱感も意識されやすかった。下げ幅が100ドルを超える場面もあった。
ダウ平均は週間では223ドル安と、10週ぶりに下落した。
個別銘柄では、前日に大幅安となったドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが買われた。航空機のボーイングやホームセンターのホーム・デポも高い。一方、医療保険のユナイテッドヘルス・グループや外食のマクドナルドなどが下げた。IT(情報技術)のIBMや機械のハネウェル・インターナショナルも売られた。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反発し、前日比13.773ポイント(0.09%)高の1万4524.073で終えた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株が上昇した。交流サイトのメタプラットフォームズやネット通販のアマゾン・ドット・コムも買われた。
ナスダック指数は週間で3.24%安と、10週ぶりの下落だった。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比125円高の3万3410円で引けた。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が相場を支えた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
33410 ( +90 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
33455 ( +135 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比33.46ポイント(0.43%)安の7689.61で終えた。欧米金利が水準を切り上げた場面でFTSE100種指数は下げ幅を広げるなど、金利の上昇が重荷となった。
FTSEの構成銘柄では、最高経営責任者(CEO)の即時解任を発表した産金大手エンデバー・マイニングが6.91%安と下落率トップ。エンジニアリング大手アイ・エム・アイが3.47%安、工業・電子製品大手RSグループが3.30%安と続いた。一方、広告会社WPPは3.77%高、エネルギー小売り大手セントリカは2.95%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比23.08ポイント(0.13%)安の1万6594.21で終えた。5日までに発表されたドイツやユーロ圏の直近の物価統計を踏まえ、欧州中央銀行(ECB)が市場の想定ほど早期には利下げに動かないとの見方が投資家心理の重荷となった。
化学大手の独BASFなど素材セクターの銘柄に売りが出た。医療機器のザルトリウスなどヘルスケア関連株も下げた。一方で銀行や保険など金融株には買いが入った。
5日までに発表された2023年12月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値や同月のドイツの消費者物価指数は、いずれも前の月から前年同月比の上昇率が拡大した。
個別では、化学大手BASF(1.88%安)、通販大手ザランド(1.63%安)、製薬大手サルトリアス(1.47%安)が売られた半面、コメルツ銀行(2.40%高)やエネルギー大手シーメンス・エナジー(1.10%高)が買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.40%安(週間で1.62%安)だった。最近の欧米指標を背景に、投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)や他の主要中央銀行の利下げ見通しを修正したことで、株式市場は軟調に推移した。
