NYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比15ドル29セント(0.04%)高の3万7711ドル02セントで終えた。今週末から発表が本格化する米主要企業決算への期待感がダウ平均を支え、引け間際に上げに転じた。
この日公表された12月のCPIは前年同月比3.4%上昇と、4カ月ぶりに伸びが加速し、市場予想を上回った。新規失業保険申請件数が減少し、労働市場の底堅さが意識されたことも相まってインフレに対する警戒感が台頭。米早期利下げ観測が後退し、ダウ平均の下げ幅は一時270ドルを超えた。
ただ、長期金利の低下に加え、米景気が大きく冷え込まず「軟着陸」に向かうとの見方を受け、相場は引けにかけて持ち直した。
ただ、長期金利の低下に加え、米景気が大きく冷え込まず「軟着陸」に向かうとの見方を受け、相場は引けにかけて持ち直した。
ダウ平均ではアナリストが投資判断と目標株価を引き上げた顧客情報管理のセールスフォースが高い。スポーツ用品のナイキも買われた。ソフトウエアのマイクロソフトは約1カ月半ぶりに上場来高値を更新した。一方、スマートフォンのアップルは下げ、一時は21年11月以来、約2年2カ月ぶりに時価総額でマイクロソフトに抜かれた。通信のベライゾン・コミュニケーションズやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス、航空機のボーイングの下げも目立った。
ナスダック総合株価指数は小幅に5日続伸した。前日比0.535ポイント高の1万4970.185で終えた。画像処理半導体のエヌビディアが連日で上場来高値を更新した。一方、電気自動車(EV)需要の陰りが意識されたEVのテスラは下げた。
S&P500種株価指数は小反落し、前日比3.21ポイント(0.06%)安の4780.24で終えた。寄り付き直後には4798と22年1月に付けた最高値(4796)を上回る場面があった。
【債券】
ニューヨーク債券市場で長期債相場は反発。長期金利の指標となる表面利率4.500%の10年物国債利回りは前日比0.07%低い(価格は高い)3.96%で終えた。朝方発表の米CPIが市場予想を上回り、FRBによる過度な早期利下げ観測が後退したものの、米30年物国債入札結果を手掛かりとした買いで低下した。
【為替】
ニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=145円台前半で推移した。米長期金利の低下を受けて、日米の金利差に着目したドル売り・円買いの動きが優勢だった。
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比340円高の3万5205円で終えた。同日は日経平均株価が3万5000円台を回復し、約33年11カ月ぶりの高値を更新。
2023年12月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで米株式相場は一進一退の展開となったものの、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
35205 ( -45 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
35260 ( +10 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7576.59(-75.17)
11日のFTSE100種総合株価指数は3日続落し、前日比75.17ポイント(0.98%)安の7576.59で終えた。終値として2023年12月中旬以来、約1カ月ぶりの低水準となる。11日発表の23年12月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を上回ったのを背景に11日の米株式市場で主要な株価指数が下落し、投資家心理の重荷となった。
銀行や製薬、公益株を中心に幅広い業種や銘柄で売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、流通大手マークス&スペンサーが5.19%安と下落率が最も大きく、金融大手バークレイズが4.63%安、広告会社WPPが4.00%安で続いた。一方、ホテル大手ウィットブレッドは2.31%高、有害生物管理会社レントキル・イニシャルは1.47%高、酒造大手ディアジオは1.00%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16547.03(-142.78)
11日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比142.78ポイント(0.85%)安の1万6547.03で終えた。11日発表の2023年12月の米消費者物価指数(CPI)で上昇率が市場予想を上回ったのをきっかけに、欧米の主要な中央銀行が利下げに慎重になる可能性が意識され、投資家心理の重荷となった。
ドイツ銀行など銀行株に売りが目立ったほか、半導体のインフィニオンテクノロジーズ、通信のドイツテレコムなど幅広い銘柄に売りが出た。DAXを構成する40銘柄のうち35銘柄が下落した。
個別では、ドイツ銀行が4.31%安、電力大手RWEが2.99%安、製薬大手バイエルが2.79%安。半面、防衛大手ラインメタルは0.72%高、日用品大手ヘンケルは0.35%高、化粧品大手バイヤスドルフは0.04%高で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7387.62(-38.46)
フランスCAC40種指数は0.52%安だった。この日発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことから、米早期利下げ観測が一段と後退し、株式市場の地合いを悪化させた。
