12日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比118ドル04セント(0.31%)安の3万7592ドル98セントで終えた。決算を発表した主要企業への売りが相場の重荷だった。中東情勢の緊迫化による地政学リスクへの警戒も売りを促した。
米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループは12日、肺炎などを引き起こすRSウイルスや新型コロナウイルスの流行に伴い、同社の医療サービス関連のコストが昨年末にかけ増加したと説明した。これが市場で嫌気され、同社株は3.4%下落した。
朝方発表された昨年12月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことで、米利下げ期待が強まった。このためダウは取引開始直後は買いが先行したが、ユナイテッドヘルス株が重荷となり、マイナス圏に沈んだ。
米長期金利の低下を背景に、主要なハイテク銘柄の多くが値上がりした。中東イエメンの親イラン武装組織フーシ派を巡る緊張の高まりで、シェブロンなど原油関連銘柄が上昇した一方、部品供給網に混乱が生じたテスラが大幅に下落した。
12日は大手銀行が2023年10〜12月期決算を発表した。JPモルガン・チェースは1株利益が市場予想を上回り買い先行で始まったものの、その後は利益確定の売りで下げに転じた。ダウ平均の構成銘柄以外ではバンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴも決算発表後の株価がさえず、主要企業の好業績への期待が後退した。
ダウ平均の構成銘柄では医療保険のユナイテッドヘルス・グループも決算発表をきっかけに売られた。株価は3%強下げ、指数を下押しした。新型コロナウイルスの患者が増えたことなどによる関連コストがかさみ、収益が圧迫されているとの見方があった。
個別ではドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスや航空機のボーイングが下落した。半面、IT(情報技術)のIBMと通信のベライゾン・コミュニケーションズは上昇した。
ナスダック総合株価指数は小幅に6日続伸した。前日比2.575ポイント(0.01%)高の1万4972.760で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズが上昇した半面、電気自動車のテスラは下落した。
S&P500種株価指数は前日比3.59ポイント(0.07%)高の4783.83で終えた。一時は22年1月の最高値(4796)を上回った。
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比340円高の3万5545円で終えた。同日の東京株式市場で日経平均株価が約33年11カ月ぶりの高値を更新し、日経平均先物にも買いが及んだ。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
35545 ( -65 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
35600 ( -10 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
12日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前日比48.34ポイント(0.63%)高の7624.93で終えた。12日発表の2023年11月の英国の国内総生産(GDP)が前月比0.3%増と市場予想を上回り、相場の支えとなった。航空・防衛大手のBAEシステムズや航空機エンジン大手のロールス・ロイス・ホールディングスなど航空関連株に買いが入った。
情報関連サービスのRELXなどの商業・専門サービスや、ユニリーバなど日用品株も買われた。中東情勢への懸念から原油先物相場が上昇したのを背景に英シェルなどエネルギー株は買いが先行したが、午後に原油先物相場が伸び悩むとエネルギー株も上げ幅を縮めた。
FTSEの構成銘柄では資源株に買いが集まり、産金大手のエンデバー・マイニングは3.79%高、同業フレスニロは3.05%高、産銅大手アントファガスタは3.02%高となった。
一方、24年3月期通期の利益見通しを引き下げた高級衣料のバーバリーは5.51%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は2.86%安、エネルギー小売り大手セントリカは1.54%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.05%高(週間で、0.60%高)だった。米早期利下げ観測が再び強まり、株高を支援した。
