ダウ反発184ドル高、中東情勢の警戒感後退

22日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比184ドル74セント(0.52%)高の3万5273ドル03セントで終えた。8月中旬以来の高値。
 
イスラエルとイスラム組織ハマスは22日、それぞれが拘束する受刑者や人質の一部を解放し、戦闘を少なくとも4日間休止することで合意。市場でこれまで注視されてきた地政学的リスクが和らぎ、ダウは序盤から買い優勢で推移した。


午前に発表された米物価関連指標で米長期金利が上昇する場面があったものの、午後には金利が水準を切り下げ、さほど株式相場の逆風とはならなかった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在の金融引き締め局面での追加利上げを見送るとの観測も根強く、ダウは終盤まで堅調な値動きを維持した。
 
22日朝の米債券市場で長期金利は一時、前日比0.03%低い4.36%と9月中旬以来の低水準を付けた。その後は小幅に上昇したものの、前月末の終値(4.93%)から徐々に切り下がっている。FRBが今回の利上げサイクルを終えたとの観測を背景に金利の先高観が薄れ、高PER(株価収益率)銘柄を中心に買いが入りやすかった。
 
米原油先物相場が一時5%ほど下落し、株買いを誘ったとの見方もあった。26日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の会合が、30日に延期された。減産を巡って産油国の足並みがそろっていないとの観測が広がった。「一段の減産による原油高が警戒されていたため、延期を受けてインフレ懸念が和らいだ」との声が聞かれた。
 
22日発表の米経済指標は強弱が入り交じる内容だった。週間の新規失業保険申請件数は前週から減り、市場予想を下回った。ミシガン大学が発表した11月の消費者態度指数(確報値)は速報値から上方修正され、市場予想も上回った。一方、10月の耐久財受注額は市場予想以上に減少した。
 
景気が減速しつつも一定の底堅さを保ち「米経済のソフトランディング(軟着陸)を見込む市場関係者が増えていることが株買いを支えている」との見方があった。
 
ダウ平均の上げ幅は一時200ドルを超えたが、買い一巡後はやや伸び悩んだ。米国では23日は感謝祭の祝日で休場となり、24日も短縮取引となる。祝日を前に積極的に上値を追う動きは限られた。
 
個別銘柄ではソフトウエアのマイクロソフトが買われた。資本・業務提携するオープンAIの最高経営責任者(CEO)にサム・アルトマン氏が復帰することが決まり、人工知能(AI)戦略を巡る先行きの不透明感が和らいだとの見方があった。工業製品・事務用品のスリーエムやスポーツ用品のナイキも高い。半面、建機のキャタピラーやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは売られた。
 
ナスダック総合株価指数も反発し、前日比65.875ポイント(0.46%)高の1万4265.857で終えた。朝方には7月に付けた年初来高値を上回る場面があった。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズが買われた。一方、半導体のエヌビディアは2%下げた。前日発表の四半期決算と業績見通しは市場予想を上回ったものの、利益確定の売りに押された。
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

22日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比570円高の3万3770円で引けた。米追加利上げ観測の後退が追い風となった、また中東情勢を巡る警戒感が後退し、買い安心感が広がる中、米株式相場が反発した。日経平均先物にも買いが波及した。

 

シカゴ日経225先物 (円建て)
33770 ( +330 )

 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
33775 ( +335 )

 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

22日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ12.48ポイント(0.16%)安の7469.51で終えた。原油先物相場の大幅下落を背景に英シェルやBPといったエネルギー株が下げ、指数を押し下げた。

ロンドン原油市場(ICEフューチャーズ)で、北海ブレント先物相場は英国時間22日午後に一時1バレル78ドル台半ばと前日比で4%あまり下げた。26日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成するOPECプラスの会合が、30日に延期されたことがきっかけ。減産を巡って主要な産油国の足並みがそろっていないとの見方につながった。

ナットウエスト・グループなど銀行株も下げた。ハント英財務相は22日、秋季財政報告の公表とあわせて、向こう12カ月のうちに英政府が保有するナットウエスト株の売却を検討する考えを示した。ナットウエストは旧ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド。2008年の金融危機時における実質的な国有化を経て、23年5月時点でも38%強を英政府が保有している。

FTSEの構成銘柄では、通期利益予想を下方修正したホームセンター大手キングフィッシャーが6.98%安と下落幅トップ。航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが2.26%安、石油大手BPが2.18%安と続いた。

半面、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコは1.13%安、流通大手バンズルは1.10%安、不動産サイト大手ライトムーブは1.09%安と売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

22日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。前日比57.29ポイント(0.36%)高の1万5957.82と、8月10日以来の高水準で終えた。欧米の主要な中央銀行が追加利上げに動く可能性は低いとの見方が、引き続き投資家心理を支えた。金利動向の影響を受けやすい不動産株が上昇した。ソフトウエアのSAPなどテクノロジー関連の銘柄も買われた。

ただ、23日は米国の祝日にあたり米株式・債券市場は休みになる。DAX指数も約3カ月ぶりの高値圏で推移していることもあり、指数上昇の勢いは限られた。

個別では、香料大手シムライズが2.76%高、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが1.95%高、分子診断大手キアゲンが1.68%高だった。
一方、製薬大手バイエルは3.44%安、医療大手メルクは2.27%安だった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.43%高だった。  不動産株が株価上昇をけん引した。 

 

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