FRBのウォラー理事はこの日、インフレの低下を確信できれば「政策金利を引き下げ始めることができる」と述べた。株式市場の重荷となってきた利上げが終わり、利下げが始まるとの期待が高まり、幅広い銘柄に買いが入った。
この発言を受け、米債券市場で長期金利は4.3%台前半とおよそ2カ月ぶりの低水準を付ける場面があった。金利の低下で株式の相対的な割高感が薄れ、主力銘柄の一部に買いが入った。
ただ、ダウ平均は次第に伸び悩んだ。ダウ平均は前月末から27日時点で2300ドル近く上昇。8月に付けた年初来高値(3万5630ドル)に迫っており、利益確定売りが出やすかった。
FRBのボウマン理事は同日、インフレ抑制のため「追加利上げが必要と引き続き予想している」と相反する発言をした。これに加え、市場では景気減速に対する不安も根強く、株価の上値は限られた。
工業製品・事務用品のスリーエム、小売りのウォルマート、化学のダウが上げた。ソフトウエアのマイクロソフトは連日で過去最高値を更新した。半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニー、製薬のメルクが売られた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比40.733ポイント(0.28%)高の1万4281.756で終えた。電気自動車のテスラ、交流サイトのメタプラットフォームズが上昇した。一方、23年9~11月期の業績見通しを引き上げた半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーは売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
【欧州株式市場】
FTSEの構成銘柄では、教育・メディア大手ピアソンが3.69%安、一部金融機関が目標株価を引き下げたと伝わった高級衣料のバーバリーが3.32%安、保険大手プルデンシャルが2.58%安だった。
ただ、欧州中央銀行(ECB)が市場の想定ほど早期には利下げに転換しないとの観測が根強い。これが重荷となり、指数は前日終値を下回って推移する場面も目立った。
個別では、電力大手RWEが3.05%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが2.01%高、コメルツ銀行が1.40%高と上昇した半面、通販大手ザランドは5.41%安、製薬大手バイエルは3.49%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.59%安で終了した。
フランスCAC40種指数は0.21%安だった。金融緩和期待から買われてきた銘柄を売る動きにつながった。この日もヘルスケア株の下げが目立った。
